2021/08/03

人間の(細胞の数)? 

(かに折りさん)?

 昔、私が初めて聞いたときは、『人体は60兆個の細胞で出来ている。』でしたが、最近はこれが37兆個ときっちりした数値に減らされていますね。あの山中伸弥教授(Prof.Yamanaka Sinya)が言われているので最新の認定数値ということでしょうね。なにか深い理由でもあるのか知らん。

 まあそれでも大変な数ですが、この細胞の中には複数の共生者の(ミトコンドリア)が居るし、腸には多数の(細菌)が居るそうだ。その数なんと100兆個だって!

 ともかく我々一人の人間は、無数に近い生命の共同体だと、テレビにて、具体的な映像で見せてもらえるこの頃だ。そういう神秘的な映像から教わるのは、いやまったく精妙不可思議な人体です! しかし、そんなこと教えられ「うわっー!」と驚くも、実感などはまったくもって無い。いや感じ取ることなど出来ない!

 さてこんな凄い映像情報を、もしもかのレオナルド・ダ・ビンチさんにお見せ出来たら、『そんなこと私は予想していたさ。』とでもおっしゃるかな?

 いやそれは冗談、実は次の話に繋ぎたいのです。

 1枚のおりがみの中に(無数の夢や可能性)が内在していて、今発見されているものは、ほんのその一部。だから「クレオパトラの横顔」が出来たぐらいで、この世界の楽しみを終われる筈もないのだが、…ただこちらの肉体の衰えは如何ともし難い。

 このことだけはいやでも実感できる! そして、肉体が衰えると、脳細胞も疲れてか、意欲を覚えるテーマもなかなか思い浮かばない。

 そこで若いオリガミアンの方々、おっと今はオリガミストと呼ぶんですってね。おりがみをするには、タキシードかロングドレスを着ないとならないように響く改名ですね! ミュージシャン、コメディアン、オリガミアン、私はそんな名の方が好きです。 あれあれジジイになって嫌味が多いですね。どうぞ聞き流して。

 でもともかく、どうかこれまでに見たこともないような、すごいものを引き出して見せてください。

 ともあれこれまで自分で見付けた諸々を、同好の士にお聞き願いたいの思いもあって、こんなブログを始めたわけですが、まあそんなエネルギーもあとどれほど残っているか?

 おっとすみません。暗い話はいけませんね。でも私気持ちは明るいんです。知の巨人と称された立花隆さんの100分の1にも及ばないでしょうが、何しろ本をいっぱい読み、数え切れないほどの未知だった情報やドラマに触れて、いつでも心に感動を覚えて生きて来れた幸せな人間と感じているからです。

 それに加えるに「おりがみ」という大きな包容力を持った友とも手を携えて来れました。もはや何をか望まん。

 でもね、岡村昌夫(Mr.Okamura Masao)先生の論文に、『明治の頃のおりがみ好きの中で、江戸時代に考えられた(蟹=8本の足、2つのはさみ、2つの目玉を1枚のおりがみで折り出す奴です)が折れる人を(かに折りさん)と呼んでレスペクトを受けた。』といった一節がありました。

 で昔の作例ですが、大いに気に入っている「かに」を紹介してみます。 はいっ! この際しっかりと言いましょう、この私は、我が身の内で働いてくれている細胞は実感できないが、1枚の紙の中に潜む諸々を感じ取る技に、人より少し熟達している(かに折りさん)なんですよ?





(割りピン)という素材との、コラボレーションでの作例です。面白いでしょう。

2021/07/30

ざぶとん折り物語 付記

前川淳(Mr.Maekawa Jun)さんの「無限折り」

 4月に前項の「クレオパトラのプロフィール」が、図らずも出来てしまったことからこれはもうドヤ顔にて自慢しなくてはならない!とて再開した当ブログですが、いわば(卒業制作)を終えてしまったら、さて? もう思い出を語るしかない?

 で、今更私が語らなくても、皆さんの方がずっとよくご存知の前川さんの、私だけの思い出を記してみよう。

 彼の作品集を最初に手掛けさせてもらったことで、以後の私のおりがみ観は大きく変えられるところとなった。そしてそこからおりがみ世界全体の技術がレベルアップしたと確信する。

 彼のまず第一の功績は「かどを、いくつでも、どこにでも自由に折り出せる手法、すなわち人の言うところの(前川おりがみ原子論)の発見だ。すごい!

 この発見の結果おりがみ造形のくふうが、試行錯誤のものから(設計するもの)へと発展したわけです。

 しかし試行錯誤のくふうしか出来ない私には、(小声で正直に言うと)、私はこの理論あまり使えません。この設計理論を紙の上に折り線として具体的に描き出すには、やっぱりパソコンが必要となるようですが、そもそもパソコンはいつまでたっても未熟で、もっぱらワープロとEメールとして用いるばかりなんです。

 さてここで違う話題を紹介します。 おりがみと双璧をなす伝承の遊び(あやとり)の研究でも著名であられた早稲田大学の数学の先生、野口宏(Prof.Noguchi Hirosi)教授が、あるとき面白い話をしてくださった。

『あやとりに(はしご)というのがあるでしょう。3段、4段、5段、と増やして行くのを、試行錯誤で楽しんで来たのですが、一人の東大生がそれを数式化して、何段でも自由自在に取れて、しかもそのクロス部分のひもの(上下関係)も自由にした! だから今は(はしご)をしない人が増えましたよ。』

 おっとごめん。前川さんの発見はこれとは違い、かどの数を望みのまま折り出せる技術として広く普及されていて、現代おりがみの(基礎理論)の一つですね。

 その点東大生のやったのは、あやとり作品の一つの広がりを解明しただけで、あやとり全体の(基礎理論)とは違うだろうと想像している。だから要するに(前川原子論)は、私の試行錯誤おりがみにとり、意欲を損なうようなものではまったくないのですね。(いえね、この頃“東大”の語が氾濫しているので、ちょっと嫌味を言いたくなっただけですよ。)

 それにしても、優れた頭脳から「折り線交点の定理」とか「変化おりづるの処方」…、など明快な基本事項にすごい発見をたくさんしてくれていますね。

 でも私がもっとも感激した発見は「無限折り(この“無限”という言葉も、今すごく流行っていませんか?)」です。

 1905年に、インドの T. スンダラ・ロウ(T.Sundara Row)とおっしゃる数学の先生が、「おりがみで幾何学演習(Geometric Exerscise in Paper Folding)」という書を出版された。 

 この本のことは、伏見廉治(Prof.Hushimi Kouji)先生が、満枝(Mrs.Hushimi Mitue)夫人との共著で著された「折り紙の幾何学 日本評論社 1979年刊」の中で紹介をされていて知ったのです。

 伏見先生は、ロウさんの「正5角形の作図法」の改良ということでの紹介でしたが、私が心惹かれたのは、ざぶとん折りを(面積を半分にする折り)として取り上げ、そのことで(数列の和)という数理を教えている点でした。

 すなわち折る前の正方形の面積を1とすると、ざぶとん折り1回するとは面積を2分の1、さらに続けて2回すると4分の1=2の二乗分の1、3回は2の三乗分の1、…それをn回続けて2のn乗分の1、でその(和)を求めると、それは最初の紙の大きさ(1)へと行き着くわけで、答えは(1に収束)となるわけです。

 そこでそんな視点を実感してみたいとてやってみると、15cmのおりがみでは、5、6回で厚くなって折れない! それは完全に(紙くず製造)だ。

 ところが前川視点では、これを(直角二等辺三角形の折り)に変えることで、そう!(無限折り)になるのだ。お見事! そしてつくば大のおりがみ教室で彼の曰く『死ぬまで折り続けてください。』

 確かにそれは理屈の上では無限に折り続けられる。まあともかく実際にこれを12、3回試みたものは、造形的にも美しい。私はこの前川無限折りをお借りして、この造形美を立体化してみた。そしてパウロ・ムラチンヨさんのご好意によりドイツから出版させてもらうことになった「おりがみ 図形と幾何学 Origami figurlich und geometrisch Augustus刊」の中で紹介させてもらったが、今でも時々この(無限折り)を楽しませてもらっているんですよ。 


 写真左上が「無限折り」のオリジナル形。それを反転して立体化してみたというわけ。皆さんも折ってごらんなさい。おりがみの楽しさが満喫できますよ。


 

2021/07/19

女王クレオパトラの横顔!

とうとう!!!

 このブログの始まりの方の頃で、「おりがみで、エジプトの女王クレオパトラが折れたら、もうおりがみ卒業だ!」なんて軽口をたたきましたが、あれれれれ どうしましょうか!

 それが手の上に現れてしまった! そしてそれは、私自身充分満足の行く表情で取り出せたのですね。でも前項で言いましたように、当初私はただ単純に、魅力的な「女性の横顔」が欲しかったのでしたのに。

 そこで、その最初の希望にちょっぴり色を付けて、ふふふっ…「女性の裸の胸像」もやってみました。

 なお女性の全身の裸像は、ずっと若い頃「ビーナス像=イブ像とも」として試みており、知る人ぞ知る、英文の著書に紹介していますよ。

 まあ講釈はともかくどうぞご笑覧ください。

 男女平等の社会と信じて生きて来た者とて、男性の全身裸像「アダム像」も公表していますよ。 おっと、イブはアダムのあばら骨から作られたって? まあ、おとぎ話にせよ、それって男尊女卑の意識からとしか思えませんがねえ。








ちょっとテーマイメージが薄れましたので、少々の休憩タイムを置きます。

2021/07/15

コロナ禍の中で、奇跡的に傑作が!

「雪女」が手の上に!…そしてなんと!!!

 350年余り前に起こったというペスト菌によるパンデミックは、今よりもっと人々を恐怖に追いやったことでしょうが、それが一応の収束となるまでに1年3ヶ月の時間が掛かったそうですね。そこで私は素人の思いにて、今年の3月にはなんとか、なんて思って人にも言ってきましたが、4月が過ぎて5月になって、6月になって、7月になっても、ああまだですね。

 しかしそんな4月に、なんとなくおり紙をもてあそんでいたら、おっ!これはこれは!…なんと「雪女」の姿が生まれ出てきました!

 この雪女というテーマについては、昔、小林正樹監督が、小泉八雲(ラフカデオ・ハーン)のオムニバス小説「怪談」の中から、四つの話を選んで映像化した中に、岸恵子さんの演ずる「雪女」があって、それに魅了され、おりがみに出来たらなあ!と心に温めていたものです。

 それが今ひょっこり手の上に現れた! でもただしそれは「折り雛」と同じく目鼻の表現は無いものです。それでも私はうれしかった。がここで欲が出て、女性の顔を描きたいものだ!と思ったら、これまた勝手に手が動き、女性らしい目鼻が現れてきたのです。

 かくてここからはもう夢中でイメージを駆り立てて、美しい女性のプロフィールを手にしました! (顔)と(髪の毛)との(2枚複合)の手法です。 が、ここでまた新たな欲が湧いてきて、ここでの(髪の毛)を(王冠)のような形に変えたら、あっあっ!「クレオパトラのプロフィール」が!

 いやまず今回は、「雪女」を下に写真紹介します。 もしかして高い鑑識眼をお持ちのあなたには、『どうってことないな。』と言われるかも知れませんが、私自身は大満足です。人の評価などどうでもいい!




2021/07/11

魚のキューブの話

(鷹の羽模様)の「ユニット・キューブ」から

 写真のようなパターンの「ユニット・キューブ(6枚組み)」を見付け、これに(鷹の羽)のイメージを得た。しかしどうもそれだけではインパクトが弱いと思い、このパターンに(濃い色の面での増・減)を加えてみようとのアイデアを得た。



 その結果が(金魚)であり(インディオの魚)との二種の「魚」のイメージだ。その二つの実際が次の写真だが、「金魚のキューブ」では自然に12匹が現れるが、「インディオの魚のキューブ」 では、当初どうしても6匹しか表せなかった。

 ともあれ、(鷹の羽)からのデザイン面での増減が(金魚)と(インディオの魚)とのイメージ変化を生んだところを見て欲しい。



 話を戻し、思い付いたことに拘って6匹では諦めず、大いに粘って金魚と同じ12匹のパターンを得た。が、この間には実に2年の時間が流れていた! 単純なくふうを好む私としては珍しいことだ。でもまあそれだけに愛着のある作品だ。ところで皆さん、(インディオの魚)って、ちょっと変なタイトルでしょう。(伝承の作例から「大口魚のキューブ」とも呼んでいますが。)



 私は、インカやマヤの絵文字のデザインに魅了され、この魚のパターンが、そんな絵文字の中のそれに似て見えたからの題名です。皆さんは、もっと深い意味を想像されたかも知れませんが、単純な理由なんですよ。 

2021/07/07

中国テレビドラマ「三国志」のこと

私の好きな中国の3人の映画監督のこと

 陳 凱歌(チェン・カイコー)、張 芸謀(チャン・イーモー)、そして高 希希(ガオ・シーシー)がその方々。

 まあそれぞれが見事な作品を多く作っておられて、それぞれに感動させられますが、今回はガオ・シーシー監督の「三国志」の感動について語らせていただこうと思います。

 この90数時間に及ぶ大長編ドラマは、ずっと前テレビ放映されたとき、わくわくして夫婦で見ましたが、今回息子のおかげで、パソコンにて再見することが出来、ますます好きになりました。

 何しろキャストがいい! 曹操(チャン・ジェンピン)、孫権(チャン・ポー)、劉備(ユー・ホーウェイ)、諸葛亮(ルー・イー)、周瑜(ビクター・ホアン)、関羽(ユー・ロングアン)、張飛(カン・カイ)、呂布(ピーター・ホー)、趙雲(ニェ・ユエン)、馬超(チャン・イーリン)、曹丕(ユー・ピン)、司馬懿(ニー・ダーホン)、…まあこの映画を通して知った俳優が大半ですが、ともかくすべて吾がイメージ通りのキャラクターが選ばれている。そして英雄豪傑たちの強さだけでなく、弱点やいやらしさも見事に描いている! つまり紙芝居ではまったくない、リアリティーある歴史絵巻だ。

 「三国志」との歴史物語を初めて知ったのは、高校生の頃、吉川英治の作品においてで、そこでの主役は漢帝国の再興を願う劉備玄徳(りゅうび げんとく)だった。が、ガオ・シーシー監督では、実質的に三國の覇者となった魏の曹操孟徳(そうそう もうとく)が主役だ(この原作は羅 貫中)。

 まあこんな言い方は間違いで、歴史群像と呼ぶのが正しいのだろうが、やはり最も監督の情熱が強く感じられるのが、曹操のように思えるのですね。そして私の思いは、それにより大いに変化させられた。 

 曹操は狡賢くて、姦雄なんて言うのが一般的だが、すごく人間臭い魅力的な英雄だ。そして詩人でもあったそうな。そして赤壁の戦い以外にも幾度か敗戦をする。まあ皆さんにこんな話は無用。

 私がここで紹介したかったのはガオ・シーシーという、ちょっと楽しい響のお名前と共に、その見事な監督ぶりのこと。

 なおこの後で監督された「項羽と劉邦」も素晴らしかった。「三国志」で呂布を演じたピーター・ホーが項羽の役をやっている。呂布のときは並外れた豪傑だが、自信過剰でトロい面もあるところを、実にうまく演じていた。が、項羽となると一変し、かみそりのような研ぎ澄まされた性格を見事に演じていた。1トン余の石の鼎を片手で持ち上げるシーンは圧巻だ! 

 なお女性に弱いところは共通で、呂布のときは貂蟬(ちょうせん、テェン・ハオ)、項羽のときは虞姫(ぐひ、リー・イーシャオ)という絶世の美女だ。二人の女優さんも実に美しく、どちらのカップルもよかったー! なお劉邦は、チャン・ダオミンという私も知っていた名優が演じた。

 まあ映画好きの身には、その感動を語りたいんですよね。ただそれだけです。




 この映画にはおびただしい数の馬(多くはCGかな?)が戦闘場面になると登場し、その迫力は圧倒的だが、中でも呂布の愛馬(赤兎馬 せきとば)はすごい! 呂布から曹操のものとなり、それから曹操が畏敬する関羽に譲られ、大活躍をする。馬は地上で最も美しい生命と思う私は、おりがみでくふうするときは、いつでも心から楽しんでいますよ。


  

2021/07/03

内山興正先生との最後の思い出

「コマ」の中心

 それは1994年、滋賀県大津の成安大学にて行われた「第二回国際おりがみ集会」に参加の後のこと。ドイツ在のブラジル人パウロ・ムラチンヨさんとドイツ人で彼の奥さんジルケ・シュレーデルさん、そしてオランダ在のポルトガル人、パウロ・タボルダ・バレットさん(Mr.PauloTaborda Barreto)の3人をお誘いして、内山先生のところをお訪ねしました。

 こころよくお迎えくださったのですが、驚いたのはそこに奥様がいらっしゃったことです。でもそれは本当に嬉しい驚きでした。

 いろいろと哲学的なお話をしてくださり、通訳を促されるも、高度な説話はまったく通訳など出来ず、冷や汗をかきましたが、3人はとてもスマートな人達とて、その場の雰囲気で多くを察して、私の語学能力の程度を理解してくれたようです。アルコールが入ると、蛮勇が出てしゃべりますが、シラフのときは、まるでボンクラ!

 そしてこのとき、最新のくふうだとおっしゃって、(おりがみのコマ)をプレントしてくださると共に、それを回しながらこんなお話をしてくださいました。

『ほら、この通りよく回るでしょう! コマって”独楽(どくらく)”って書くでしょう。だから一人で回して楽しんでいるんですよ。はっはっは。 ところでね、ここで回っていないものがありますがわかりますか? それ(コマの中心)ですね。

 さて私は仏様の教えに従って生活しているだけで、食べ物も住む家も、ぜんぶひと様に支えて頂いて生きているわけですが、そのことを少しも恥じたりはしません。

 すなわち私の心はこのコマの中心のように、不動でいられるんです。私が仏様の教えを不動の心で人々にお伝えすることで、皆さまが忙しく回ってくださって、私の不動心を援助してくださっているのです。』 

 これが内山先生との最後の思い出なんです。なおブラジル人の方のパウロさん、彼は写真の腕はプロ級でして、そんな彼ががたくさん撮ってくれた師との(ツーショット)は、私の宝ものです。



 なお別れ際師は、『私はもうおりがみの方の活動をする時間がありません。で、おりがみについては、あなたに衣鉢(いはつ)を託します。』とおしゃられた。
 このことは、3人に帰り道「師からおりがみのバトンをタッチされた」と話したら、3人揃って握手してくれました。でも具体的には何をすればいいのか? 今尚分からない。
 こんなブログをやることがそれに当たるのかな? なんて思っています。



2021/06/29

美ら海(ちゅらうみ)水族館

まったくもって(誤解)の連続!

 二昔近く前になるでしょうか、日本折紙協会沖縄支部(このときは違う名称だった? 具体的には、当時代表であられた島袋保子(Ms.Simabukuro Yasuko)さんからのお招きにて講演に伺い、大いなる感激の中でそれを終えての休みの1日、素晴らしい「美ら海水族館」に初めて行きました。

 いやっー、本当に素晴らしい水族館でした!  巨大な「ジンベイザメ」の悠揚迫らぬ泳ぎの姿には感動させられましたね!

 ところで、このとき私の心には、大きな一つのわだかまりがありました。それは希少生物のジュゴンの生息地であると聞いた辺野古(へのこ)の海が、基地の滑走路として埋め立てられるというニュースです。

 日本の基地の7割も押し付けている上に、さらに美しい自然まで破壊する! こんな暴挙をやって、それで利益を得るのは一体だれ?

 とまれこんな決定に強い怒りを覚えるものの、私なんかにはどうしようもない。でともかくジュゴンに会いたいと思いたってこの水族館へ行きました。そしてついに対面出来ました!

…が実はそれは「マナティー」だったのです! しかしそのとき、私は「ジュゴン」と「マナティー」とは同じ生物で、生息場所の違いで名前が違うのだろうと誤解していたんですね。

 さてそんな誤解のまま長い時間が経過した後、信州おりがみ交流会「りんどう」にお呼ばれしたときの(テキスト)に、おりがみ「ジュゴン」の紹介をしました。それからまた長い時間の経過の後、NOAのマガジンにこの作例の紹介をしてくださるとのチャンスを得ました。

 このとき、編集長の青木伸雄(Mr.Aoki Nobuo)さんからそっとやさしく『ジュゴンの尾ひれの形状が、マナティーのそれになっていますが、直していいですか?』とのご指摘をいただいて、初めて自分の誤解に気づいたわけです。そしてインターネットで調べたら『よく間違える人がいるが、別種の生物』の解説と写真を見たのです。

 そしてたまたまの偶然で、テレビのコマーシャルで『日本で唯一(ジュゴン)が見られるのは(三重県の)(鳥羽水族館)だけです。』との声を聞く。

 辺野古→ジュゴン→美ら海水族館→ジュゴンとマナティーは同じ? とそんな誤解の連続だったんですね。ともかく楽しく知識が得られ、青木さんには感謝しています。


 これは「マナティー」で、既にこのブログの最初の方で「ジュゴン」として紹介。が、それが間違いで、「ジュゴン」は次の写真の通り、尾ひれの形状が違う。




2021/06/25

ざぶとん折り物語 2

佐野康博(Mr. Sano Yasuhiro)さんの思い出

 もう三昔以上も前の頃のことだったと思います。日本折紙協会( NOA)の創設メンバーのお一人で、初代理事長であられた佐野さんの講演でのことです。

『私は講習会などの冒頭、1枚のおりがみで、目安の折りなどまったくせず、いきなり(ざぶとん折り)をします。みんなびっくりします。 でも今日はそのひみつを教えてあげます。実はね、私の使うおりがみは中心に針で穴を開けてあるんですよ!

 その穴は私だけに見えるので、さっさとかどをこの穴に合わせて(ざぶとん折り)を正確にやってしまう! そんな針穴などまったく見えない人たちには、「わーすごい名人芸!」と驚くわけですね。どうぞ皆さんも講習するときやってごらんなさい。うけますよ!

 ただしお断りしておきますが、私このことで(特許)を取っておりますことは覚えておいてくださいよね??? はっはっは』

 こんなお話を伺った後、二人でお茶を頂きながら、私は、佐野さんにこんなことを言いました。「只今の(ざぶとん折り)の話、面白かったです。そのお礼の思いにて、私の思い付いた(ざぶとん折りのパズル)を提供しますが、聞いてくれますか。」

「先ほどのお話での(ざぶとん折り)ですが、目安の折りをしないとて、4回の折りが必要ですよね。さて用紙が正方形と保証されれば、(3回の折り)で出来ますが、解ります?」

??


「すみません。このパズルは心理の盲点を突いていまして、…(ざぶとん折りとは、同じ面にかどを折り集めること)とは規定していないでしょう。」

『ははーっ、うまいですね。解りましたよ。長方形に折って、二つのかどをいっしょに折ってから重なりを開けば、確かに3回の折りの(ざぶとん折り)だね。』

「ああ、佐野さんはさすがにスマートでいらっしゃる。ところでね。最近私はこれをさらに縮めて、(2折り)でやる方法を思い付きましたよ。」

『んーっ、そりゃ難問だ!…家でゆっくり考えさせてもらいましょう。』

 皆さんは解りますか?


 実はこの答、当ブログのかなり前の項で、筋道を示していましたよね。


3回折りでは、上の写真のように、2種類の答が出来ますね。




 上の写真は、最初の「ざぶとん折り物語」での問、ざぶとん折りの出来る三つの用紙形の答ですが、これらを広げたらどんな形になりますか?

 

2021/06/21

驚きの事実判明!

自然界に(反物質)が一瞬だが存在する!?、との大ニュース! 

 下記するテレビ番組を見るほんの少し前、「又吉直樹さんの”ヘウレーカ(わかった)”NHK Eテレ」というテレビ番組では、『宇宙創生の(ビッグ・バン)のときに、(物質)と(反物質)が生み出されるも、この二つは出会うと光になって消えてしまう。で、結局のところ(物質)の方がやや多かったので今の(物質だけの宇宙)になった!!!
 だから以後宇宙に(反物質)は存在しないのだ。…でも今はそれを人工的には作れる!』

 そのように教えられたばかりなのに、その少し後のテレビ番組では『北陸地方の冬の時期に発生する巨大雷(スーパーボルト)の中に、反物質が発生していることが判った!(2021年2月21日の、NHK Eテレ サイエンスZERO)』 

 言うまでもなく、私などにはその高度な説明を聞いても頭は混乱するだけですが、心踊る驚きのニュースではあります。と言うより、すごいファンタジーではありませんか! 

 現代科学って、コンピュターの大発達により、自然の仕組みを急速度で解明しているようですが、私には目が回るばかりの話!

  物質と反物質が出会うと(対消滅 ついしょうめつ)とかで、すごいエネルギーを発散して(光)となるのだそうだ! そのエネルギーはなんと! 雲の中の(窒素)を(炭素)に変えるほどのものだと!
 それは正に極上のファンタジーだとも思える!

 大好きなアメリカの小説家ダン・ブラウンの(ロバート・ラングドンのシリーズ)「天使と悪魔」の冒頭は、スイスのセルン(CERN=欧州原子核研究機構)の高速加速器により(反物質)が作られるところから始まりますね。

 それにしても自然は、超奇抜な現象に満ちているようです。











2021/06/17

(ざぶとん折り)物語

(おりがみ用紙)の特性 

 それは、一面にだけ色が付けられ、裏面は紙自体の色の(白)。このおりがみ用紙の特性の素晴らしい(教材効果)を教えてくださったのは、阿部 恒(Mr.Abe Hisasi)さんでした。

『知的障害の子どもたちの施設で、おりがみの講習が出来ますか?と聞かれたとき、即座に思ったのが、表裏ということを活用することさ。そして依頼を引き受けて実行したとき、そう!「この色紙をぴたっと折って、白いところをぜんぶ色に出来るかな?」と、こどもたちに聞いたのさ。』
『もちろんその理解には、時間は掛ったさ。でも最終的にはみんな(さんかく)か(長方形)に折ってくれたんだよ。嬉しかったね。』 ああこれ、いい話ですね! なおここから先の指導の仕方は、講師のアイデアですね。

 ところでこのブログの始めの方で、このきっちり半分折りには、あと2種類あって、その一つがフレーベルが提示した(ざぶとん折り)による正方形だとの話をしましたよね。



 3つの(きっちり色面で白い裏面を見えなくする折り方)にはもう一つ、(5角形)があっって、昔喫茶店で一人コーヒーを楽しんでいるとき思い付き、小躍りした話しましたよね。

 話を戻しましょう。
正方形の布の四隅を真ん中に集めて縫い合せ、中に綿を入れた「座布団」と同じだからこの名になったわけです。ならば英語では(クッションcushion フォールドfold)と呼ばれると思いきや、これは(ブリンツblintzフォールドfold)だそうだ。
 はて(ブリンツ)ってなーに?
 
 アメリカの民族学者で、オランダ在だったガーション・レグマン博士(Prof.G.Legman)がその名付け親だそうだ。そしてこの名は、ユダヤの人の家庭料理で、春巻きの皮のように小麦粉を練って四角に延ばしたものに具を乗せ、(ざぶとん折り)様に包んで作ったものだとか。

 私が持っている程度の辞書では、この言葉は出ていない。それでずっと長いこと分からないで居た。が、三昔ほど前だったろうか、ニューヨーク・オリガミ・センター(現在のOrigami USA)にお呼ばれしたときのホテルの朝食時、並んだ料理のあれこれを選んでいると、ジャン・ポーリッシュ(Ms.Jan Polish)さんがお隣に来られた。
 その朝の挨拶の中で、なぜか突然この「ブリンツ」のことを思い出し、彼女に訪ねた。
『あなたが今お皿に取ったそれが、ブリンツよ。』

 外国に行って、シラフの時の私の脳は、常にぼんやりしています。だからこの「ブリンツ」どんな(具)が入っていて、どんな味だったか今は完全に忘れていて、思い出せない。でもともかく、ブリンツって、そういうもの。

 さておりがみにおいて、(ざぶとん折り)が(きっちり)と出来る用紙形が、正方形以外に二つ有るけれど、それ判りますか?(答えは後日。)

2021/06/13

サニーサイドアップ

サニーサイドアップ=(お日さまの面を上)って何? 

 これ(卵調理)の名前ですね。すなわち「目玉焼き」のこと。 英語名だと美しいが、日本語名はよく考えると不気味ですよね!
 でもこれ大好きです。もっとも昔から(片目!)しか食べませんが。 つい最近、うまく使えなくなってきた手の訓練と思って、紙をもてあそんでいたら、その(サニーサイドアップ)がイメージ出来るような形になったので、じっくりとそのイメージを定着させてみたのです。



  コロナ禍で自粛の中、短時間の訪問とて娘のファミリー5人が来た時、話題とて「何に見える?」と聞いたら、皆首を傾げたが、一番下の8歳のミレイが『目玉焼き?』と当ててくれました。いい子だねえ! イメージの共有が出来るのは「同志」だよ!

2021/06/09

何に見えますか?

「イメージ・ゲーム」の最新版です。  

 このゲームのやり方は既にお伝えした通り、(おりがみを、無作為に何回か折ったものを、半開き状態にして、その形に何かを見立ててみる。) かくて、次の形に自分でも嬉しくなるような(見立て)を得ました!




  さて、あなたならいかが?  私はこの造形に、(腰を折り曲げて、手を広げ足を踏ん張り、大きく息を吹き出す人の姿)を見付け?ました。そこでそうです! これに「風神」を見立てました! で、そこで、まったく同じ折り型を、開き具合を変えてみることで、風神と対の「雷神」の見立てを!








 我ながら奇抜な着想と喜んでいます。まあ、こんな私の見立てに『まったくそんなもの見えない!』と、賛同出来ない方は多いでしょう。でもそんなことどうでもいい。おりがみって、なにしろやる人間に楽しきゃいいのです。 
 かくて今は一人で楽しんでいる者です。はいっ!

2021/06/05

コメントをいただいた方々へ

いつも当サイトをご覧いただき、ありがとうございます。


ここでサイト管理人よりみなさまにお詫びがあります。

今までいただいたコメントの承認処理がされておらず、

数年前から滞留されていたことが判明いたしました。

貴重なコメントが筆者に伝わっておらず、大変申し訳ございませんでした。


今後このようなことがないように対応してまいります。

これからも「クニ オリガミプラス」を宜しくお願いいたします。

管理人

ふと、思うこと?

母の一番上の義兄(私には大伯父)のこと 

  私の母は10人兄姉の末ということを前に明かしました。 その母の一番上の姉さんの伴侶は、小平雪人(こだいら せつじん)という著名な歌人でした。  
 明治天皇に進講したほどの人だったとか。 もち、末っ子のそのまた末っ子の私には、顔も知らず、生まれた時ご存命だったかも知らず、具体的な思い出などはありません。



  でもその雪人の句の一つは、信州諏訪湖畔に歌碑として残されていると教えられて、昔しっかりと目にして来ました。
 「五月雨や 大龍現ず 諏訪の湖(さみだれや たいりゅうげんず すわのうみ)」と刻まれていました。
  私には、スケールの大きい立派な句だと思えました。この著名な歌人の存在があってか、母を始め親戚には文学好きも多かった様子。



 












 さて私が小学生だった頃です。その頃は東京中野区の野方(のがた)という所に住んでいました。そこから歩いて小一時間行った所に、新井薬師というお寺が在りました。お小遣いを持ってそこの縁日に行くのが、少年時代の楽しみの一つでした。
  そんな縁日の出店の(金魚すくい)で取って来た数匹の金魚を、鉢に入れてじっと見ているところに母が言いました。 『親戚のダレソレが詠んだ歌だけれど、こんなのがあるよ。”金魚らは 何楽しみに生きるかと、ふと思もほえて、寂しかりかり。”と言うんだけど、どう思う?』それになんと答えたか記憶はありませんが、「素直な心での歌」と思い(50人超の従兄弟)が居たことを思い返しています。(雪人ではなかった?)
 でも今でもはっきりと覚えているということは、強い印象があったのだと思います。しかし今はそのお名前を忘れてしまった方の心理に、少し(上から目線)を感じる私が居ります。
 
 だって、他の生命の存在理由など分かろう筈もないではありませんか?
 今、新型コロナウィルスという、生命なのかも分からない、細菌よりずっと小さくて、光学顕微鏡では見ることが出来ないほど極小の存在に、地球上の人間は拘束され翻弄されています。
  ではこのウィルスが、次から次へと感染を広げているが、その(存在目的)って、一体何なのだろう?
  金魚なら、食べ、排泄し(そう、金魚の”うんこ”ね)、体を異性の目に魅力的にし、そして子孫を残す、…まあ、今現在の私には、親戚のどなたかと違って、金魚の生きる喜びはそれなりに分かる気がする。でもウィルスって、何かを食べるでもなし、交尾するでもなし、生命の細胞内でしか動けず、それに侵入することで、ただただ(遺伝子のコピー)をするだけ!
「ウィルスは、何楽しみに…?」 そもそもウイルスのエネルギー源って、何だろう?




  ヒトって、ただ一種の存在なのに、ウィルスって、とてつもない数の種類があって、しかも生命誕生のかなり前から存在していたらしい!?…テレビの(ウイルス特集)の解説を聴いているうちに、これは「地球上の生物のバランスを調整する(?)もので、ひょっとすると(”神か悪魔の助手?”的な存在)なのか? なんて妄想してしまった。

  もう一つ、生かじりの知識ですが、( ニュート リノ)という、質量をほとんど持たないと言われている物質が、星の生死から発生して、宇宙に無数に飛び交っているのだとか! 地球だろうと我々の体だろうと、スイスイと通過する!? これって、その存在意味の分からないことで、どこかウィルスに似てない!? 

 まあどうでもいいでしょう。そんなことの真相を知ったところで、我が人生になんの影響もない。…でも、知ることが出来たら、そりゃ楽しいでしょうね。
 そう!藤田先生(Prof.Hujita Humiaki)の教え、「知るだけで良し=Good Only Know.」。

 * 自粛自粛で、休んでいたら、また少々蛮勇が出て来たようで、ブログ再開してみました。ネタがどれほど見付かるか分かりませんが、のんびりとやることにします。おっと気になっていた「昔、始まりの物語 第2部」待っている人など居られないでしょうが、自分のためにいずれ始めます。ああそれから、自粛の(粛)の字の、書き順分かりますか? それって、まるで(パズル)ですよ。