2019/07/09

光弘式「とりたちの姿」 つづき

光弘式作品紹介 つづき



7番目は「伽藍鳥(ペリカン)」です。
(ざぶとん折り)プラス(魚の基本形)から。
  6番目は「鴛鴦(おしどり)」。
残念ながら、(オス)の姿だけ。
(ざぶとん折り)+(魚の基本形)
での作例です。        

 ちょうど半分の5番目は、「雀(すずめ)」。
唯一(飛んでいる姿)です。         
       さて、この作例の折り方図のみ下に写真紹介  。


5番目の「雀」の折り図です。
こんなのが12枚の資料です。
ファイルの中に挟まって、52
年忘れて来たという次第です。


 前項で3つの光弘作例の姿を紹介しましたが、ここではまた3例の紹介でした。どれもいい形でしょう!
 何の外連(けれん)も無いし、鳥の胸部の丸みの出し方など、エレガントなのですね。ともかく私たちは、内山道郎さんとは「花紋折り」という孤高の美の花園の作者としての認識が強いので、このような鳥作品が意外で、(ウロコの取れた目に)新鮮なのです。

 なお、内山道郎氏の著書のことですが、昔、書店にて1書を見付け、…迷いに迷って買ったものを持っている筈ですが、…お気の毒と思うのは、記憶において、その表紙や図解や口絵に魅力が感じられなかった。かくて買うのを迷った! で、まあ、本棚のどこか隅っこに放置しているでしょう。未だ確認出来ていません。確か(重ね折り)の作品が紹介されていたと、おぼろに覚えています。

 が、そんな本としての(出来具合)などで評価せず、実際に折ってみるならば、その魅力は理解されたことでしょうにね。(当時は、本の容姿しか見ていなかったようだ!)

 その(光弘式)の造形美の、真の見事さを証明する実例は「佐久間八重女著 古典折り紙 平凡社1981年10月初版」です。

 道郎翁から直々の手ほどきを受けられて、その作品に心酔しておられる人の思いが満ち溢れているこの本は、これ自体が一つの芸術品のように思われます。まるで美術本を見ているようで、…ただ残念ながら、自分でも復元してみたいの思いは起きません。すなわちこの佐久間さんのご本にある、(重ね折り)や(花紋折り)は、私などでは手の出せない世界であり、私の(おりがみ理念)とは異なる世界のものと思うからです。

 さらに言えば、ここで用いられた素材には、道郎翁のアイデアにより、自ら染められた特別な紙も多く使われているのです!(ちりめん布に絵の具を塗り、上に和紙を乗せて手刷りプリントした、と聞いているユニークな模様の紙!)要するに、(光弘さんの世界)なんですね。

 私がおりがみで第一の要件と思うのは、(一般的なおり紙で、復元を気ままに楽しむ手芸)です。 紙を選びに選んで、1時間や2時間ではなく、何十時間、いえ、何日も掛かって折るおりがみ、それは私の理想の外のものです。でもその魅力を否定はしません。それはおりがみの別の分野→“個性”を主張するおりがみ、だと思うのみです。

 ともあれ、50年余前の私が、そっぽを向いてしまった光弘作品。しかし(おりがみの歴史)を語る上で、大事なものだと今は思います。そしてこの10点の作例で、内山道郎氏は、現代おりがみの(幕開けのお一人)との認識になりました。少なくとも私の中で。

 なお、これまた私の勝手な推測ですが、高浜利惠(たかはま としえ)さんの「小倉百人一首の歌人たち」や「能や歌舞伎の人形たち」は、光弘式(重ね折り)を後継するものだろうと認識しています。そしてまたこれも、私にはまるで手の出せない世界です。


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