2019/07/12

雑誌「太陽」

その出版社名は?

 雑誌「太陽」は、高級マガジンのイメージで、私の心を捉えていました。実際その編集の視点やカメラの素晴らしさ、そして一流の執筆者たちを見れば、十分に魅了されるものでした。
 この雑誌の出版社の名は、(平凡社)でした。 こんなふうに名まえだけ聞くと、出版のことに疎い方は、なんか小さく平凡な会社のように思われる向きもあるやも知れませんが、いえいえ、百科事典を出している名門の老舗出版社です。

 さてそれは、私が、長野耕平(ながの こうへい)氏の経営される(ぴぽ社)の、社員として働いているときの話です。「太陽」で(おりがみ特集)をすることとなり、ぴぽ社がこれに協力することになりました。
 いやそもそも、長野さんが売り込んで実現した企画でしょう。…でもそんな真相はどうであれ、おりがみ世界にとって、一つの朗報であったことは間違いありません。

 昭和43年(1968)の2月号に、それは実現されました。ただし、第一特集は「戦国」でして、第二特集が「日本の折紙」でした。そしてその中で、内山道郎氏の「花紋折り」を、著名なデザイナー、柳宗理(やなぎ そうり)氏が、その美の世界を絶賛評価されて、一文を寄せておられます。
 その辺りを、具体的にご紹介したい思いやまやまですが、まあ権利の問題からきっちりとした紹介は諦めましょう。しかし、そのプロフィールくらいは紹介させてもらいます。
 それにしても、平和のシンボルおりがみは、よく戦争と対比的に扱われますね。




 左ページは「かやら草」に所載の「お雛様」です。
実は私が折ったものに、同僚のデザイナーさんが彩色
 してくれたものです。               
内山道郎氏は、このように後から絵を付けるもの
 から発展させて、紙の色で造形表現をする「重ね折り」
という世界を考えられたのだそうです。      
 なお『花紋折り」の元となる一つが、伝承の「畳紙
 (たとうがみ)」であると、解説されています。   

 佐久間八重女著「古典折り紙」にての
光弘式(重ね折り)の「お雛様」の写真
です。(かやら草)での(描き入れ)と
の違いをご鑑賞あれ!        
 なおこれ平凡社からの豪華本です。 

光弘式作品紹介 その3

 では、内山道郎作の「10種のとり」の折ったものの中、今回は残りの4種を紹介してみましょう。

4番目は「鶏(にわとり)」。(とさか)の
表現がユニークでしょう。そしてモダンな感じ。
原型は(ざぶとん折り)+(魚の基本形)。  
 なお、(とさか)は紙裏なので色変え出来る。
 けれど(ハンケチ折り)とて白一色で折った。
3番目は「鴉(からす)」。光弘式の鳥は、その
足の折り方が独特で、ユーモラスです。とくに次の
2番目の作品では、それがより強調されています。
「からす」の原型は(おりづるの基本形)です。  
ほらね!楽しい足の造形でしょう。
これ、ちゃんと立つのですよ。ちょっと
不安さを覚えるサイズですのにね!  
いや前置きはこのへんで、これ2番目の
「鶴(つる)」です。ユニークですね。
 そして原型は(おりづるの基本形)です。
 さあ、トップの作品が「鳩(はと)」。
なお説明文はほとんど同じもので、それを
読むと、どうやら(ハンカチ)で実際に折
ったものを付けて、それを(見本)とした
 とも思え…すると折ったものが(商品)か?

 ところで、これらの造形を今の目で見ないでください。1937年にこんな高い技法のおりがみが在ったのだ、とのこととして見てください。今では(当たり前)という折り技術は、まずは(革新の精神)の所有者が居られて実現されるのでしょう!

 おっとそれから、もう一つ言っておきたいのは、復元時、折り手の性格というのがどうしても現れます。かくてここまで10点には、笠原の好みなどが出てしまっているでしょう。内山氏の時代とは(折る素材)も異なりますしね。その点はご理解願います。
 道郎さんご自身で折られたものは、きっと素朴で技法の目立たないものだったのでは?そのように思っています。

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