2019/04/13

(かやら草)の「ふくらすずめ」

「ふくらすずめ」、しっかり伝承されていますが…?

 きっと皆さん、この名の伝承作品よくご存知でしょう。(下の写真参照) でも私、この造形にどうしても(すずめの姿)が感じられませんでした。 それから(ふくら)という言葉には(福良)の当て字を与えている資料もありますね。

 ところで、(ふくらすずめ)という名を昔、母や姉たちの会話の中に聞いた覚えがありました。
 すなわち(帯の結び方)あるいは(髪の結い方)の言葉だったように覚えていました。で今回、改めて広辞苑を引いて見ました。すると、まず『肥えふくれた雀の子、また、寒気のため全身の羽毛をふくらませた雀。』との説明の後に、『女の髪の結い方の一』と『帯の結び方の一』ともあって、私の記憶が正しかったことが分かって嬉しかったです。

 さてここでは、そんな自慢が目的ではなく、この伝承の造形が、(冬のふとったすずめの子)とは見えず、(髪型)や(帯の結び方)の方が似合うように感じていたのです。

 ところでもう一つの疑問は、この「ふくらすずめ」は、実に易しい折り方のものなのに、「かやら草」の記録者、足立一之さんは、なぜ『その折り方がよく分からないので、紹介出来ない。』なんて記したのでしょう? 多分、全然違う造形だったのでは?

「ふくらすずめ」として伝承されて
いるものは、この形ですね。でもこ
の形にはスズメの姿は見い出せない
でしょう。なお、「ふくらすずめ」
の名で紹介されている形にやっこさ
んの形をスズメに見立てた2種があ
ります。ところがつい先年、岡村昌
夫先生がやっこさんの形を「すずめ
踊り」と題した資料のあることを、
明らかにしてくださいました。  
「ふくらすずめ」の名で、こんな
造形も伝承されています。なお、
やっこさんそのものを「すずめ踊
り」との見立てのあることは上記
の通りです。         
どうしてもスズメに見えなかった「ふくら
すずめ」を、少しでもスズメらしくしてみよう
の折り変えです。「ふくらすずめ」の原型を少
し折り変えるだけですから、折ってみて。  

左の原型を右のようにしてください。

 さて、上のような折り変えから、少なくとも雀らしい造形にしてみましたが、でも満足できませんでしたので、さらにくふうを進めて、別伝承の「ふくらすずめ」2形が「やっこさん」からの見立てであったことから、私は今度はやっこさんからの「すずめ」を試みてみました。 その結果が下の写真のもの。これには(足)が付いていますよ。

(やっこさん)からの「すずめ

「やっこさん」の半分を反転させ、
そこから三角のかどをつまんで折り
それを(足)にして、「すずめ」と
してみました。なお奴よりさらに1
回(ざぶとん折り)を増やして折る
と、嘴が二つになったり、目の表現
が出来たりしますよ。      
上記説明のもの。
「ふくらすずめ」についての探索は、私の中では以上で終了しました。でも(福良)を付けない「雀」は、大好きな鳥ですし、くふうが楽しいので、すでに10種以上くふうしていますが、これからも楽しむことでしょう。





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