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2020/04/06

幾何図形の楽しさ

気付かされた「美の世界」!

 (丸=circle)や(三角=triangle)や(四角=square, rectangle,quadrangle)なんていう、まるで味気ない造形のどこが面白いのか? かつてそんなふうに思っていた私の蒙を啓いてくださったのが、阿部 恒(Abe Hisashi)さんでした。
 かくしてその後私は、大いに楽しく勉強したんですよ。そしてその結果は…。

(丸)は、立体化して考えれば、最高の造形(球=ball,globe,sphere)の探求へとくふうを楽しませてくれる。
 そもそも(丸)は(円=ring)で、数字の(ゼロ=zero)だ。ゼロは無だが、整数に付けて置かれた場所で大事な意味を有する。
 円も空っぽで何も無いが、内と外を分ける。そして(円)には、起点も終点も無い。融通無碍(ゆうずうむげ)だ。

(三角)は、純粋な幾何学の基本に繋がり、やがてそこから(多面体=polyhedron)なんていう、興味深い造形世界へも導いてくれる。

(四角)は、私の心を鷲掴みにした(キューブ=cube)へと誘なってくれる。

「幾何図形は、よく見れば実に美しくそして楽しい。」ーそして私がとくに魅了され、ライフワークとも思い定めた図形こそ、「立方体(=cube)」でした。
 立方体=キューブは、私に2次元〜4次元までくふうの夢を叶えてくれた!

 さて前項では、(6本のテープ編み)での「サッカーボール」を楽しみました。そこでこの(6)の半数の(3本のテープ)で、ゆったりと編んでみますと、それは「球=ボール」になりましたね。(4本編み)もまたしかり。

 で次に、それらに折り目を付けてみましたところ、(3本編み)は「斜立方8面体=rhombicuboctahedron」と言う、何とも奇妙な名前の幾何図形となりました。(準正多面体)の一つです。
 そして(4本編み)は「角切り8面体(=truncated octahedron)」という名の、やはり(準正多面体)となりました。(写真)
 前項の場合同様、穴は塞がっていると考えて。

 3本編み球は「斜立方8面体」に。4本編み球は
「角切り8面体」という名の、どちらも(準正多面体)
の仲間となっています。            

 5種しか無い(正多面体)のことは、もう既に詳しく解説済みですね。で、この(5種の幾何図形)に、ある種の規則的な操作を加えて得られた(13種の図形)が考えられていますが、それを(準正多面体)と言います。 興味のある人は図形の解説書を見てね。

 さて、6本編み、3本編み、4本編みと見たところで、次は(5本編み)ですね。それは次の写真です。
5本編み球もきれいな姿で、私は
好きですが、これは幾何図形の仲間 
にはなりません。でもそんなことど 
うでもいいですね。        
  写真には見えてはいませんが(5角 
    形の穴)が二つあります。         


2019/11/29

大好きな造形

加賀前田家伝承「紅入れ」

 これは確か阿部恒さんから教えてもらったものですが、実に見事な造形のおりがみ作品です。「紅入れ」とは、女の人が唇に塗る紅(べに)の容れ物として、当時は実用だったであろう、おりがみ作品です。
 赤いおり紙で折ると効果的です。これを現在に活かすために阿部さんのアイデアから、「ティシュ・ケース」などと見立て直していますが、私は「シールとか切手の入れもの」なんていうのもいいかな?なんて思っています。いやそれより「お年玉袋」がいい!

 さて写真でご覧いただくと分かるように、この作品造形の(赤)と(白)の面積が、表裏共に(1:1)なんですね。
左が表の形で、右が裏です。ねっ!どちらも赤:白=1:1。

 いやいや、実は私がさらに大好きな造形とは、完成前の次の写真のような形で、…私の幼稚性は、このように白い正方形が連なっている造形に、無心に惹かれるのです?!
 そして、この白い正方形を数えると、それは(4)で、この数字は辺の等分数を示しています。
正方形の団子が4つ!

 ばかみたいな視点でしょう! でもね、私の発想はそんな幼稚な好奇心から始まるのですよ。つまり、これが(4等分)なら、(3等分)は? また(5等分)(6等分)は?
 そしてそんな造形を並べて楽しむのです。…とそこに、新たな思案が生まれます。すなわち(3)(4)(6)は楽に折れるが(5)はどうやったらいいのだろう?の思案なんですね。

 また(8等分)のものも実にやさしく折れますが、はて「(6)と(8)の間の(7等分)はどうやったらいい?」
 でも思い出してください。私の工夫のコツとは「思案は“中間に在り”」でしたでしょう。かくてイメージは湧きましたが、でも折りの実際は?

左から(3)(4)(5)(6)(7)(8)の等分形。
さてこの形、白い正方形を数えれば、それが何等分かが解る。

 ここに(幅がきっちり3cmの、プラスチック定規)が有ります。すると、15cm角の一般的なおり紙を、(5等分)するなら、15cm÷5=3cmとて、このプラスチック定規を使えば、5等分が楽々出来ますね。(100円ショップで売っている短い定規ー写真のものーが、きっちり幅3cmです。)
幅3cmのプラスチック定規

 しかし、次の(7等分)は、15cm÷7=2.1428…とて、どうもうまくありません。が、ここで、15cmのおり紙の、(対角線)の長さを測ってみると、これがほぼ(21cm)なんです。で、対角線を折って、そこに3cmの定規で印を(2方向)から付けると、いとも簡単に(7等分)が出来るのですね。
左が(7等分)、右が(5等分)。
右の長い定規も、幅きっちり3cmです。


2019/09/15

「はながたつつみ」?

フレーベルを知る前に

 先日実に久しぶりに、古い著作の掲載作品につき、読者から問い合わせがありました。それは、「おりがみ むしとはな 有紀書房 昭和45年(1970)刊」の中に紹介していた「はながたつつみ」についてのものでした。

「はながたつつみ」?…?…?

 はるか昔に書いたこの本は、…正直な話をすれば、結婚し独立して生活を始めた頃の作業で、折り図はもちろん、表紙の絵から作品写真まで自分で撮ったもので、まるまる一冊でいくら、として売り渡したものでした。(要するに、当時まだ駆出しの私には、交渉力も契約に関する知識も乏しかったのです。)

 ともかくこのようなスタイルで、…まあ、2、3ヶ月に1冊書けば、生活が成り立つかも知れないと考えて始めたわけです。

 そしてそんなスタイルでの生活が、数年続けられました。そこで、いつも「今度はどんなテーマで?」というような次のプランに思考は向けられていました。

 かくて、結局10余冊の非印税出版を続けました。でも、とにかく(本好き人間)とて、売り渡しであってもそれなりに楽しんで作業したことです。それに大事なことは、本は(記録)として残るわけですし、そして今回のように、何十年経っても読者と繋がっていられるということです。
(なお、著述を職業と決めるその前に、久保書店、日貿出版の2社は、お願いするまでもなく、きっちりと印税契約をしてくれました。)

 しかし、やがて気持ちにも少し意欲が出たところから、私なりの(おりがみ理念)もはっきりと主張すべく、そのためには責任も明確にとて、結構ハードな交渉をしなければならない場合もあったものの、ともかく決心してからは、印税契約の作業だけをするようになったのです。

 ともあれそんな経緯のため、心理において、売り渡して刊行されたもののことは、だんだんと記憶は薄れ、そして…今回のように問い合わせがあったときにやっと見直します。

 だからこの著書を見るのは、何十年か振りでした。そして開いてみて、懐かしい思い出が思い出されたのですが、なんとそこには、内山光弘さんの「花紋折り」のことを記しており、それに倣うような気持ちからでしょうか、「はながたつつみ」などと名付けた私なりの「畳紙(たとうがみ)スタイルの作例」を紹介していたのです。 でも本当に記憶から消えていたものなんですよ。

 さてそんな経緯で思い出した「花形包み(はながたつつみ)」ですが、改めて見るに、かなり拙い思案のものでした。
 そして今にしてじっくりと思い返せば、この頃の私はフレーベルの「美麗式(Beautiful System)」のことは、よく知らなかったか、あるいはまったく興味が無かったかのように思っています。

 私が「美麗式」に関心を持ったのは、昭和60年(1985)の頃、かつて小学校の校長をなさっておられ、そのご経歴から独自におりがみ史を調べておられた林正之(はやし まさゆき)先生のお声がかりで、玉川学園教育博物館との繋がりが生まれたとき、フレーベルのことをいろいろと学ぶ機会が訪れました。
 そして、(おりがみ実技)の中心に在るのが「美麗式」だと知ったことによります。

 で、すぐに「最新折り紙小百科 日本文芸社 昭和63年(1988)刊」に、新しく知った(62点)の「美麗式」を紹介しました。
 そしてこの頃、上記博物館でもご一緒していた高濱利惠さんも、時を同じくしてこれを紹介するご著書を刊行なさいました。正に切磋琢磨(せっさたくま)する同志でした!

 まあかくのごとくにて、私の(パターンおりがみ)の最初の、わずか11点の作業「花形包み」に(拙過ぎる)ものを外し、現在の視点にて付け足したもので(20点)とし、写真紹介します。

 このような造形変化は、正にフレーベルが「美麗式」に込めた理念通り、(“1折り”の違いが、大きくイメージの異なるパターンとなり、こどもにも“くふうの喜びの実際”を味わわせる!)でして、容易に、楽しく、どんどんと増やして行けるものなんです。

11種のパターンだけのものから、20種
に拡大してみました。これらは全部「入れ物」
になっています。つまり「花形包み」です。 
  なおこの折り方には(左回り)と(右回り) 
 がパターンの違いを生み、それがまた楽しい! 
                 
 





2018/04/20

要素の数に合わせて

キューブの(3要素)の数

 前項で言いました通り、キューブの(要素)はその数がはっきりしていますから、それに(ユニットの数を一致させる)という考えは、必然的なテーマですね。で、…

「キューブ」は別名「正6面体」ですから、(面の数=6)です。次に(辺の数=12)、(頂点の数=8)ですね。そこでこれらキューブの(要素)の数に合わせての、ユニット作例をご紹介しましょう。

 ところで前に阿部さんの推薦図書として「高木貞治(たかぎ ていじ)著 数学小景
岩波書店」という名著に触れましたが、その中に、この(面=Face)と(辺=Edge)と
(頂点=Vertex)との間に在る法則を示した「オイラー(=Leonhard Euler)の多面体定理」についての、とても楽しい解説があります。
 結論だけを示すと、…3種の(要素)の間には、…

V(頂点)+F(面)= E(辺)+2 (高木先生は、点はt、面はm、辺はh、で説明!)

 という関係式が成り立つというものです。ところで痛快なのはその証明で、(多面体)をゴムで出来た球体のように考えて、…いや、門外漢の説明など止しまして、…この定理の証明が、近代数学の一つ、「トポロジー(Topology=位相幾何学)」の出発点となったと言われている、という事実のみ紹介させていただきます。 ほら!『ドーナツとコーヒーカップとは、“穴が一つ空いた図形”で等しいもの。』そんな考え方をする幾何学ですね。

 なおこれまた自慢話に繋がりますが、『この「トポロジーの考えからの一つの発展としての“カタストロフィー理論”という思考」を、日本に最初に紹介された数学者だよ』と、阿部さんに教えられた、早稲田大学の野口宏教授がおられますが、この野口先生は、一方で「あやとり」の著名な研究者でもあられ、…こちらでの関係で、この野口先生と、当時サンリオにおられた阿部恒さん、…そして数年間、ピポ社で一緒に働いた同僚で親友の、ペーパークラフトなどに見事な才能をお持ちのデザイナー小杉恵子さんと私との四人は、サンリオが創刊した「あそびの国」という楽しい雑誌の編集のために、毎月1回集まったものです。 こんな幸運が確か2年ほど続きました。

 まあこの編集会議も楽しかったものですが、終わった後の(呑み会)が、まあ至福のとき! 山国生まれの私が、刺身の真の旨さを教えられたのもこのときでした。
 マグロもサバもヒラメもアジも、タイもイワシも、海の魚はまったく知りませんでしたので、お寿司が美味しいものだと知ったのは、30歳も半ば過ぎてからですが、…まあ、その美味しいと思うものは、イカ、タコ、エビ、それに赤身のマグロに平貝ぐらいで、コハダやウニやトロなどがおいしいと思うようになったのは、…そう、この頃以降のこと。

 そしてこの呑み会で、(白いカレイのエンガワ)とか、(桜色したイワシのお刺身)の初めて知るおいしさには、声をあげるほどの感動でした。
 昔、長野県で知る魚は、鯉、フナ、ワカサギ、…うなぎ、など淡水魚で、海のものは「塩イカ」?…海の無い県としては、イカは生ではなく、塩漬けの真っ白い保存用のものだけでした。(これがまた独特のおいしさのものでした。) まあ現代の方にはきっと想像もできないでしょうが、…私のこども時代はそんなでした。
 あっそれから、フグのおいしさを教えてくれたのは、佐世保市に居られた頃の川崎敏和さんです。(それは、確か私はまだ40代半ばの、煩悩多きときだったか?)

 あれあれともかく、この頃の経験と毎日は、我が人生の絶頂期のものだったようです。…失礼、本題に戻りましょう。

 さて前項では「要素は4つ在る」と言いましたが、(中心)は、それって一つしか在りませんから、数に合わせたユニットにはなりませんので、ここでは用いられませんね。

 でもこの(中心)からの発想は、他の要素に関連付けると、いろいろと考えることは出来て、とても楽しいテーマでしょう。
 ともあれ、「キューブ」という一つのテーマがどんどんと広がって行く様をご覧いただくと、私がこの探求をライフ・ワークにしたこと、きっとご理解いただけるでしょうね。


左から、「面数6に合わせての6ユニット組みキューブ」
中央が「辺数12に合わせての12ユニット組みキューブ」
そして右が「頂点数8に合わせての8ユニット組みキューブ」
そしてここでの自慢は、このユニットの折り方が、ほぼ全て同じ
ということ!

これは(一つしかない中心)を
6つに分けて、外側に引き出す
という思案での作例。    
「菱形12面体」とでも呼ぶ?
 なおここでの使用ユニット数は 
辺の数に等しい12枚です。 

2018/04/16

キューブの4要素から

(面)、(稜=辺)、(角=頂点)そして(中心)

 これは「正多面体5種」について言えることですが、おりがみで正多面体を考えるとき
には、常に上記の(4つの要素)からの(くふう)を思い描くことが出来ます。
 さてそこで、私のライフワークの「キューブ」について、そんな視点からくふうしてみた4種の作例をご紹介してみましょう。(写真1)

写真1
左から右へ向かって「面からのくふう」「辺からのくふう」
「頂点からのくふう」そして「中心からのくふう」の4つの 
キューブたちです。                  

 さて(写真1)と同じような視点からのもので、もう少し(装飾性)を高めてみたものを(写真2)に紹介します。この中で、一つしか無い(中心)は、これを12に分けて、
(辺での角度)として表現してみたものです。
 なおここでは(要素の数)は考慮せず、自由気ままにやってみました。でも、(数)に意識を向けてみるのも楽しいもので、具体的には、面の数6に合わせ6ユニット、辺の数12に合わせ12ユニット、頂点の数8に合わせ8ユニット、で考えるわけです。
 で、そのことは次の項で見てみましょう。


写真2
右奥のものは、「辺で構成された12枚組みの
キューブ」ですが、頂点から対角の位置にある
頂点を結ぶ4本の対角線の交点が、中心です。

2018/02/05

フレーベルの「びれいしき」

ビューティフル・システム

 幼稚園教育の創始者、ドイツのフレーベルが創案し、そして規定した20種の教材の中に、「紙を折る=おりがみ」が含まれています。そしてその代表的な実際例としてよく知られているのが、「美の形式(Beautiful System)=美麗式(びれいしき=明治時代のちょっと奇妙な訳語)」です。

 この「美麗式」に魅せられ、「工夫と発見が楽しい! フレーベルに学ぶ 模様折り紙 日貿出版社 2015年刊」を著されたのが、沖縄の島袋保子さんです。
 島袋さんがこのご著書の表題に示されている通りに、フレーベルの「美麗式」は美しい(おりがみのパターン)が、(工夫と発見)を大人だけでなく幼児までにも促してくれるものなんです。
 きわめて容易な(ざぶとん折り)や(かざぐるまの原型)を、(表裏で色が異なる“おりがみ”)にて、ほんの3、4の折りの変化を施したり、複数を組み合わせたりすることで、それが思いもよらぬ美しく楽しいパターン変化を生みますから、…そこで(工夫と発見)となるのですね。それは幼児は元より大人にとっても、童心に還えれるたまらない魅力ですよね。島袋さんの(“ビューティフルおりがみ”復興活動)に喝采を!

 ともあれおりがみを(幼児教材)にした、これは正にフレーベルの慧眼です。

「美麗式」そのパターンのほんの一例
沖縄にお呼び頂いたとき、こんな大迫力の(美麗式)の屏風を
共同制作されて歓迎していただきました。これほどの感激を味
わわせていただいた経験は、滅多にないものでした!忘れられ
ない美しい思い出です。                 



2018/01/24

回転折り(コンパス折り)

(円)へ繋がる!思案

(折る)という行為は、原則的には「紙に(直線)を作図すること」とも考えられます。ところがこの直線作図行為が、ちょっとしたくふうで(曲線的な印象)を生み出すことになります。こんな課題は前にも記述しましたが、ここではまたちょっと視点を変えての話です。

(写真1)の左上の図を見ていただきながら説明すると、辺に平行な等分割線の折り目を付けたら、次にその等分割線と反対の折り目(谷折り⇄山折り)を、等分割の細長い長方形のひとつの(対角線)として、そのすべてを(平行)に付けます。するとそこに、用紙の中央を中心として、(コンパスで円を描く)ような現象が起こります。
 写真の左上から右へ移っての形がその結果の造形です。ねっ、紙の縁が曲線的になっているでしょう。 この形は、二つ折りして「二枚貝」とか「草」とか「木の葉」などの一般的な作例へと仕立てられるでしょう。

 さて次に、用紙形を正方形から(長方形)や(台形)に変えて、その形に同じような折り線を施してみますと、…ここには曲線的な造形と共に、対角線の付け方で(“左右”の造形の相違)という現象が起こります。これはとても面白く楽しい発見でした。
 とくに下中央の形からは、実に面白い「お皿」が出来ますから、考えてみてください。

写真1 右側の2形では、平行線ではない折り目を付けてみたもの。

 さて、こんな発見をさらに推し進めてみました。(写真2)をご覧ください。ここでは正方形の半分(1:2の長方形)で、写真1での試みと同じ折り線構造で、今度はその分割比を変えての造形変化を見てみましたところ、なんと!、それは美しい紙の表裏でのツートンカラーの(円形)イメージを生む造形となりました。そして次にそれを(半開き)の状態へと引き離してみると、そこに(螺旋形)が生じます。
 ところで(円形)と見える造形の場合よりも、その分割数の荒いもの(左側の5等分のもの)では、(正多角形→正8角形)が、そしてその下の(6等分では正10角形)と見えるものが現れていますね。…で、ここから思案を広げてみたものが、(写真3)の発見へと繋がったわけです。

写真2 「円形への思案」が!

 まあ上記のような考察の結果、私は新しい「正多角形の作図法(写真3)」を発見し、その昔、たまたまドイツにお呼ばれした折に、おりがみの同志の方たちにこんな発見の発表をさせていただき、皆さんから実に嬉しい喝采を得たのでした。
 なおそこで自慢させてもらったことは、定木とコンパスという(幾何図形の作図において、その使用を許された二つの器具を使用しても、“作図不可能図形”)とされた、(正7角形)や(正9角形)、(正11角形)や(正13角形)…などまでも(同じ要領で)描けることを発見したわけです。そうなんです! それこそ鼻を高く出来る自慢の発見でした。
 で、この折り方手法にはコンパス折りより(回転折り)の方が似合うかな?と思い、そんな命名をしました。
 指で折れる限界あたりの(正23角形)まで折ってみましたが、…もうこれはほとんど(円)の印象ですね。
写真3 正3角形から正23角形までの21形

 ともあれ、(おりがみ遊び)に惹き付けられるのは、こんな楽しい発見が、教育者でも学者でも無い身にもやれるからでしょうね。
 いえそう言うより、専門家ではないから逆に常識に捉われず、(近似解)で充分満足!と、自由気ままが出来るからなんでしょうね。(この具体的な作図法は、「おりがみ新発見1 日貿出版社 2005年刊」にて紹介しました。)

面白い「お皿」
(写真1)の解説からの造形


2018/01/20

正多面体の話(その2)

キューブの中の、他の4つの正多面体

 新しい年のスタートは、私がライフワークと決めた(キューブの探求)の話からしようと思います。

 全5種の(正多面体)の、(その相互の1対1での入れ子関係)は、全部で20通りの組み合わせが考えられますが、その中から(キューブの中の、他の4種の正多面体との関係)の姿を「おりがみ遊面体(既紹介)」から紹介します。

(写真1)に4つ並んだキューブは、すべて(割れるように)なっています。そこで割ってみたものが、(写真2)です。
ねっ!「幾何立体図形」って楽しいでしょう!そして「キューブ」って面白いでしょう!
 おやまあ、スタートから賛辞の強要ですね!

写真1
写真2
  左手前から「キューブの中の正20面体」、「キューブ
の中の正12面体」、「キューブの中の正8面体」、そし
て一番奥は「キューブの中の正4面体」。なおこの最後の
ものは、著名なデザイナー故福田繁雄さんの作品として学
んだことがあったもので、実はこの(正4面体)を割ると
そこに(正8面体)が現れるものですが、ここではそれを
分離してみたわけです。               
ともあれ、こういう造形物は、その(展開図)がこれま
た楽しいものなんですよ。              





2017/12/08

正多面体の話(その1)

阿部さん推奨の本

 阿部恒さんにその昔、正多面体のことをお尋ねしたところ、『高木貞治という数学者が書いた(数学小景 岩波書店 1943年初販 1981年改訂版)というのを読んでごらん。』と言われて読みました。名著で、面白くて一気に読みました。
 ここでは、いくつかの楽しい図形パズル問題の解説と共に、「多面体」という幾何図形のことが、いかにも明瞭に、そして洒脱な文章にて解説されていました。
 どうか皆さんもこの名著、少なくとも「正多面体」及び「図形パズル」にご興味のある方は、ご一読あられんことを! 難しい数式など出てきません。

 ところでここで「正多面体」の話を始めると、そこには「キューブ」が含まれるので、ついつい話は長くなります。 で、今回は総括的な正多面体の紹介だけに留めましょう。そこでまずはともかく、「正多面体とは何か?」の定義から見て行きましょう。

(正多面体の定義)
 それぞれが合同(=同じ大きさ)の1種類の(正多角形)から構成される凸型立体で、頂点部分の状態が全て等しい(=同じ数が集まった)図形は、全部で5種類だけが有り、それを(正多面体)と言う。そしてその5種類は次の通り。
(正3角形)から出来る「正多面体」は次の3種
頂点部に正3角形が(3つ)集まったもの→「正4面体」
頂点部に正3角形が(4つ)集まったもの→「正8面体」
頂点部に正3角形が(5つ)集まったもの→「正20面体」
 正3角形の一つの角は(60度)だから、(6つ)集まれば60度×6=360度で、平面になってしまい、立体になれないので、上限は5となる。

 正多角形の正3角形の次の(正4角形=正方形)で考えると、
頂点部に正方形が(3つ)集まったもの→「正6面体=立方体=キューブ」
 正方形の一つの角は(90度)だから、(4つ)は90度×4=360度で平面とて、上限は3となる。
 正多角形で正方形の次は(正5角形)で、その一つの角は(108度)だから(3つ)集まったもの→「正12面体」
 4つは108度×4=432度で無理と分かり、結局上記の5種類だけとなる。

 おっと、言うまでも無く高木先生は、こんな無味乾燥の説明ではなく、実に魅力的な解説をなさっておられ、そのユーモアに溢れた文章に、思わずくすっとなりますよ。

 ともあれ、おりがみに熱中して10年くらい経った頃、阿部さんと会え、そこから「おりがみと幾何学との実に楽しい結び付き」を教えてもらって、上記のような(正多面体)などのくふうに夢中にさせられたわけで、その頃を思い出すとふっと笑顔になります。
 かくてその頃楽しくくふうした(おりがみ正多面体)を写真紹介してみましょう。

おりがみの「正多面体」全5種


それからずっと後での、正多面体の楽しいくふう

紙工作での(入れ子細工)の「正多面体」
正4面体→立方体→正8面体
正8面体→正12面体
正12面体→正20面体
(入れ子細工)の正多面体は、サンリオの(ビバ!おりがみシリーズⅤ)として、1992年に、横浜国立大学の松本久志先生の監修をいただいて「おりがみ遊面体」として上梓しました。
 おりがみと題しましたが、内容は(紙工作)でした。ただし、(おりがみ)の表題にしたことは、その紙工作の展開図の作図を「おりがみを折ることで、角度や寸法を割り出したので、おりがみと題することに躊躇はなかった」のですが、…書店ではあまり売れませんでした。
 しかし関係者の評価は高く、(多面体)の名を(遊面体)としてくださったのは、装丁をしてくださったデザイナー氏の高評価からのご厚意でして、この題名に大喝采してくださった、イタリア在住であられた物理学者の藤田文章先生は「Origami Play-hedron」というおしゃれな英訳名を考えてくださいました。これは多面体のことを英語で(Poly-hedron)といいますが、そのPoly(多数の)の語を、Play(遊ぶ)にしてくださったのでした。
 でも残念ながら、再版には遠く及ばず、この英語のタイトルを使わせていただくことはありませんでした。
 住まいの近くの書店で、これが並んでいるのを見たときは、すごく嬉しかったものの、いつまでも売れないで、汚れ防止のためか、やがてビニール袋に入れられてしまったことでした!
 この頃、美しい女性のヌード写真の本が、立ち見されるのを防止するためにビニール袋に入れられて、これを世間では(ビニ本)と称しました。 かくて私は「とうとうビニ本の著者となってしまった!」などとボヤいたものでした。でもこれ、美しい女性のヌード本と同じくらい楽しい、感激の一書だと自負し確信しています。
 でもまあ悲しいことに、この近くの書店も、そしてこの本も、遠の昔に無くなっていますがね。

2017/06/25

サイコロ、すなわちキューブの魅力

 キューブの六つの面に、1〜6までの数を示したものがサイコロですが、その場合、背合わせ面の数字は、足すと(7)になっています。そのスタートの数字の組み合わせのことから、それを「一天地六」と言っています。やくざ映画なんかで聞く言葉ですね。

『お豆腐は、賽の目(小さな立方体の形)に切って。』料理場で聞く言葉ですね。

「ぞろ目」に「丁半(偶数、奇数)」どちらも2つのサイコロの目の出方を指す言葉。これは時代劇での常用語ですかね。

『賽(サイコロ、采配のこと)は投じられた。』シーザーがルビコン川を渡るときの決断の言葉だそうですが、…左様にサイコロは昔から在り、そして身近なものです。

 ところで30年近く前、2枚のユニットで、その表面の色の部分が、紙裏面に1〜6までと増えて行くように成って現れ、加えて天地の面の合計が7となるようなものが出来たときは、自分でも驚喜したものでした。(この“おりがみサイコロ”の折り方は、昨年30年ぶりに復刻出版していただいた「折り紙百科 日貿出版社」に載っています。)

 さて私のおりがみでのライフワークのテーマは「キューブの探求」とは、諸所で言って来たことですが、実は亨保19(1734)年の「欄間図式」という最古級資料の中に、「玉手箱」と題したキューブの作例が、完成形のみのイラストで示されています。その折り方に関しましては、本多功氏が昭和の初期に出版された著書の中に3種のスタイルで図解紹介されております。かくしてこのことは、伝承の証言とでも言えるでしょう。

 ともあれこの資料を見るに、キューブの魅力の探求は、古くして新しい課題と言えるようです。

            画面には(1)(2)(3)が見える。
おりがみダイス(2枚組みのユニット式)



最古級の資料「欄間図式」


キューブの断層
(ここには、正方形、正6角形、菱形、シルバー矩形、の4つの図形が示されます。)

2017/05/07

直線の折り目で、曲線・曲面を表現! 

直線、曲線、曲面

「紙を折る」という、なんでもない行為に、論理的な視点を当ててみるとき、それは(紙の上に“直線”を作図する)ことに他なりません。…ところが、こんな直線作図の行為が、思いもしない結果をもたらせてくれます。

 それはすなわち、直線を折ることで、そこに(曲線)や(曲面)を生むという現実があるのです。こんな現実の是非を論じても意味はないかも知れませんが、でも(折る)という行為は、単純なものではないのだ、とだけは言いたいですね。

 とくに昨今は学者の先生方の、私などは思いも寄らない科学的な視点から、「細胞膜に自動的な折りたたみをさせる!」だとか、「衝撃に強いダンボールのおりがみ防災ヘルメット」だとか、…まあ、ただびっくりして、そして嬉しくなってそんなテレビの映像を見ています。

 あ、そうそう。下の写真の美しい曲線は、スペインの天才建築家アントニ・ガウディが実際に作業に当たる職人さんたちに、イメージした(曲線・曲面)を、具体的に伝達するための(道具)に、これと似た思案のものがあったそうです。







ミニチュア・ボックスの「天女」
直線を折っただけなのに曲線が!

2017/04/29

また見つけた “11” !

また見付けた「キューブ “11” の不思議」

 最近はもうあまり “おりがみ” をやらなくなりましたが、「キューブ」だけは例外で、今でもときどきくふうを楽しんでいます。…そんな中で先日、池上彰さんのTV番組で、宗教の解説をしておられるのを見ていたら、『イスラム教の信者は、一生に一度はメッカに巡礼しなくてはならないが、そのメッカでは(カーバ神殿)を訪れることなのですが、その(カーバ=Kaaba)というアラビア語の意味は、(立方体)ということです。』と伺い、とても驚きました。

 といいますのも、私はこれまでいくつもの著書の中で、「キューブ(Cube)=立方体」の探求は私のライフ・ワークですと公言して来ましたから…もしも、間違って曲解されて、(カーバ)の探求者か?…愚かな私のバカな被害妄想を思ったりしてしまいましたが、でもともかくどうしたって、「キューブは素晴らしいテーマです!」

 さて、その「キューブ」で、(8つのパーツを組んでキューブ型にし、それを下からポン!と打つと、それがバラバラに解けて飛び散ることから「キューブの花火」と題した作例をくふうし、紹介したことがあります。

 でも実は、これは昔ドイツのおりがみ仲間を訪問した折に、(12枚の“ふうせんの基本形”)を組んで、それを下からポーンと打ってバラバラにする!との、実に見事なおりがみアイデアを教えられ、…それって確か「蝶の舞い」といった作品名だったと記憶していますが、…ただこの(12枚の組み方)が、すごく組み難かったので、…これをもう少し組み易く出来ないか?…の思いからくふうしたものです。

 いや、前置きが長くなってしまいましたが、…この(8枚組み)のキューブの形を(2色)で組むとし、結果、その2色が「等しい表面積で同じ形を示すような組み方は、全部で何通りあるか?」との問題を思い付き、…やってみましたら、それが(11通り)という答えになったのでした。

(キューブの平面展開図が“11通り” )とあいまって、「 “11” は、キューブと深く繋がっているのかも知れない?!…なんて思ったりして。

11の解答の中の、3例


「キューブの花火」11種の(同形)2色組み