2019/06/30

おりがみの豆本

ページ数の競争?

 1989年、サンリオから「ビバ!おりがみシリーズⅣ おりがみ新世界 名人達の傑作集 ORIGAMI El Mundo Nuevo(このイタリア語の題は、パドバ大学で物理学を教授しておられた藤田文章先生からいただいたものです。)」という、ちょっと豪華な本を出版してもらいました。

 いろいろと盛り沢山の内容のものでしたが、中で(おりがみの「本」=この本とは、表紙は色面、本文は裏面の白でと折り出したもののこと。)の競演を企画しました。その作者名を掲載の順番で下記すると、

 まずはトップバッターとして、マーチン・ウォール(Martin Wall)さんのシンプルな「本」と、私の易しい作例を紹介させていただいた後で、「かわいい本(私の勝手なネーミング)」の競演としたのです。

 そして、離れた後のページから、ー
フランシス・アウ(Francis M.Y.Ow)さん 作品「心のページ(彼の付けた名は、Book of Love)」。 競演の扉の役を務めて頂くための、これは別種の造形のもの。

マーチン・ウォール(Martin Wall)さんの2番目 作品「かわいい本」
前川淳(Maekawa Jun)さん 作品「かわいい本」
デビッド・ブリル( David Brill)さん 作品「かわいい本」
 なお、マーチン・ウォールさんの次に、私笠原の「かわいい本(2番目のもの)」を入れています。

熊坂浩(Kumasaka Hiroshi)教授 作品「かわいい本(原題はノートブック)」
 この次にも私の「かわいい本(3番目)」を。
 そして次には再びデビット・ブリルさんの「かわいい本(2番目のもの)」を。
阿部恒(Abe Hisashi)さん 作品「かわいい本」
 なお阿部さんの作品は、マーチン・ウォールさんと、デビッド・ブリルさんの作品とを合体させ、それを(1:2の長方形)から折ったら?との思案からのもののようでした。
 で、マーチン・ウォールさんの作品を(1:3の長方形)からとの案を加えて紹介。
 そして最後に四度私の「かわいい本 2案」です。

 さてここで、(切り)を入れる作例は私と熊坂教授だけで、私についてはジャキジャキと3箇所を切るとなっています! 言うまでもなく他の方々は完全に不切です。
 でも私は、「(不切)とは、おりがみをパズルとして楽しむ場合のルールみたいなもので、造形遊びとしてこどもにも復元を楽しんでもらう手芸と考えたら、切ることもOK」が考えにありますから、躊躇なく切っているわけです。
 もちろん、そんなのは笠原の勝手な考えと言われれば反論はしませんが、熊坂教授にはご賛同いただけるだろうと思っています?(熊坂先生、残念ですが既に故人)

 一方、そんな(おりがみ理念)とは別に、「本」というテーマでは(パズルとして、ページ数の競争?)といった考えもあったのではなかろうか?とも思っています。だから私も(パズルとしてのチャレンジ)から、不切で「本文12ページの本」を3番目に紹介しましたが、これかなり難しい(パズルおりがみ)!

 なお、イギリスのおりがみ名人、デーブ・ブリル(David Brill)さんの造形には、この「本」に限らず彼のどの作品にも、英国紳士のような品格を感じられて、それで彼の作品好きなんです。

同じ大きさのおりがみで折った、「かわいい本」のあれこれ。

一番大きく出来上がる3つの本。
中央の(6ページの「本」)が、不
切の前川作例。         
 左と右は共に(8ページの「本」)
ですが、左の熊坂教授の作例は、1
回の切りで出来ているが、右の笠原
作例では、3回の切りを用いている
ので、評価では笠原が一番劣ってい
るみたいに思われるでしょうが、本
人にはまったくそんな思いはない。
 何故ならこの切り方式、ページ数
の増加に用いることが出来、16ペ
ージ、24ページ…と可能にして行
    くのです!つまり同じ3回切りで。    

共に(不切で8ページ)を引き出し、なおかつ
本文部より表紙を1回り大きく折り、(束=つか、
本の厚み)までを表現されたのが、上の2作例で、
 左がデーブ・ブリルさん、右が阿部恒(あべ ひさ 
し)さんのものです。どちらもエレガントですね。
  15cmのおりがみ、ということに拘らなければ、 
もう少しきれいに折れたでしょうね。ごめん。  



2019/06/27

ブラックホール!

阿部さんとの思い出

これまで何度か、炯眼の士で師とも思う人、阿部恒(あべ ひさし)さんのことを記して来ましたが、具体的な思い出となる本があります。

 1979年に、サンリオから出版した阿部さんとの共編の「たのしい パズルあそび」というかわいい本です。いくつかの出版物からの引用などのものでしたが、もちろんオリジナルも有って、とても楽しい作業物でした。しかしあまり売れませんでした。ガクッ!



 話はがらっと変わりますが、平成の最後のときになって、これまで人類の、とくに天体物理学者の最大の夢と言われて来た「ブラックホールの実像の観測」が、ついに実現されましたね!
 正にその名の通り(黒い穴)でしたが、とにもかくにも人間の知恵ってすごいですね!

 さてこれは、まったくの(ジョーク)ですが、実に40年前、私はおりがみで、この(ブラックホール)を発見し、上記阿部さんとの共編の書にそれを紹介していたのですよ!?!

 ともあれ、話題のタネが無くなってきた者の(悪あがき)みたいな思いで、そんな発表を写真紹介してみましょう。

おりがみセットの中の、保護材の厚紙
を用いましょう。          
まずは正方形の(中心)を印します。

次に、この(中心)を通って、辺に
(平行でない線)を引きます。   
次には今引いた線と、(中心で直角に交わる
線)を引きます。             

この2本の線を、カッターで
切ります。そしてこの中心の直角
を外側にして並べると、…???

 はい! 全体がわずか大きくなった正方形。 でも中心部に(穴)が空いた! そう、これが「ブラックホール」!!!

2019/06/24

回文(かいぶん)

言葉を愛した人々と、…

 昔、落語家の立川談志さんが、『おれが死んだときの死亡記事は、談志が死んだ。の回文にしてくれ。』と言っていたのをテレビで見ました。はて、亡くなったとき、ほんとうにそう書いた新聞あったのかな? ともかく、言葉を愛した談志さんですね。

 さて前項での「矢野目源一編 娯楽大鑑」から、この(回文=上から読んでも、下から読んでも同音のもののこと)のいくつかを紹介させてもらいましょう。

 まずは談志さんと同じような短い言葉から。
塀のあるあの家  磨かぬ鏡  私負けましたわ  留守に何する  ダンスが済んだ
旦那が何だ  いか食べたかい  隣家は官吏  色白い  良く利くよ  夜居るよ

 次は(俳句)のスタイルで。
草の名は 知らず 珍し花の咲く    消ゆる子の 片身に見たか 残る雪

 (和歌)のスタイルで。
長き夜の とおの眠りの皆眼ざめ 波乗船の 音の良き哉
草々の 名は知らぬらし 花守も名は知らぬらし 花の咲く咲く

 いやいや、他人の本の抜き書きでは、ブログのネタも種切れの様ありありですね。自分でも何か気の利いたのを、と思うも、…
邦、食べた肉  つまんねー!

  

    
 

2019/06/21

なぞなぞ遊び

古書からの書き写し

 昔、お世話になっていた久保書店の蔵書で「矢野目源一編 娯楽大鑑 東西遊びのいろいろ (東京)洋元書房 1947年刊」というのを貸してもらって、いろいろと書き写したノートが出てきました。そこには、今見ても面白いものがあったので、紹介してみましょう。

1、寛永年間(1624〜1644)の碓氷の落首(らくしゅ)の歌の文句だとあった、
  八万三千八、三六九、三三四四、一八二、四五十二四六、百四億四百。
  これ、なんと読む!?
  山路はさむく、さみしよ、ひとつ家に 夜ごとに白く 百夜置く 霜。
  (真ん中の一八二の読みが、とくにすごい!)

2、英文で一番長い綴りの文字は、何か知ってます?
        前に、別宮利昭氏の織り紙地球儀で、RHOMBICTRIACONTAHEDORON(ひし形30
  面体)なんていうのを教えてもらいましたが、これかな?
  いやいや、そんなのよりもっと長いのが、(Smiles=複数の微笑み)です。Sとsの間が
  なんと! マイル(mile)=1.6キロメートルもあるんですよ!

3、(とんぼ)と(はち)が、東西に分かれて戦争をしたそうだ。はてどちらが西軍?
  これの答えは後で。

4、ある国の王様が魔法を使って、自分の身体に尾と耳を付けましたら、到々本当の獣
  になってしまったそうだ。はて、何でしょう? これ漢字のなぞなぞ。
  この答えも後で。

5、草木の間に人あり、さて何の木か? 上の4、と同じ(漢字なぞなぞ)。
  この答えもまた後で。

6、春夏秋冬四季の木とは? これは答えを言ってしまいましょう。
  椿、榎、楸、柊。 (つばき)(えのき)(ひさぎ)(ひいらぎ)
  (ひさぎ)という木は知らなかった。あなたは知ってた?
  「楸」は別名「アカメガシワ(赤芽柏)」あるいは「キササゲ」と言うとか、でも?

7、花に三つの顔があります。三つとも1日の内三度に別れて顔を出します。はて?
  これはもう前の項で答えをご覧いただきましたね。??

8、「狐の大声」とは、どんな野菜? これトンチなぞなぞ。
  この答えも後で。

9、ある動物が5匹並ぶと、アメリカの都市となりますが、それって何だ?
  この答えも後で。

10、小野篁(おののたかむら=平安時代の貴人、文人。)が、勑問(ちょくもん=天皇
  の質問。)に答えて成功したという伝説があり、平安時代より(なぞなぞ)の流行が
  あったことを物語るものの証と言われる。で、その問題とは?
  子子子子子子 子子子子子子 さてこれを何と読む?
  篁の答えは、
  猫の子 子猫 獅子の子 子獅子。(子)の字は、(ね)(こ)(し)と3通りに読
  めることでのなぞなぞ。

 さて、3、の答えは、2×4が8で、はちが西軍。
 続いて4、の答えは、(羊)。 5、の答えは、(茶)。 8、の答えは、(大根)。
 9、の答えは、(鹿5)。 なお、7、の答えは、(朝顔)(昼顔)(夕顔)ですね。

2019/06/18

3つは一つ!

組み木パズル

 近頃また(組み木パズル)の人気が再燃しているようだ。100円ショップなんかでも売っている。さてもらったり買ったりしたそれらの中で、これまでまったく違うものだと思っていた、写真の3つの(組み木)が、構造的にはまったく同じものだ!と最近気付いた!

 ほら!写真よく見て! この3つが(同じ構造物)だなんて信じられますか?

一番右の形を、おりがみで作ったイギリスの名人が居ますね!

2019/06/15

(皮革)もおりがみに成る!

それは楽しいおりがみ素材

 人間とは(記録)を好む生物のようです。そこで簡便な記録素材(紙)の発明以前に、(木)や(竹)や(粘土)などの他、羊皮紙(パーチメント)に記録したそうな。

 さて羊に限らず、牛や豚などのどうぶつの皮は、おりがみにも向いている素材なんです。

 以前レザークラフトをやっている親友から、皮革素材をいただいて『皮は折れるよ。』
と教えてもらい、おりがみに適応させてみる試みをしていた中で、(半開折り=Harf-opened crease=カナダ在住の友人が名付けてくれた。)が、(皮折り)に向いていることが分かりました。

 次に写真紹介するのが、皮革で折った(半開折り)作例のあれこれです。皮は着色出来ますから、これらに色を付けたら楽しい作品になるでしょうが、私にはその用意がありませんから、素材のままで止めております。
 なおこれらも元々は(イメージ・ゲーム)からの収穫なんです。

 そして前にちらっと紹介した(厚紙)からのおりがみ。これは水でぬらしてから折るとちゃんと造形出来る!と解説しましたが、皮革も同じでぬらしてから折るのです。ただし皮は指で折ったくらいでは折り目はすぐ元に戻ってしまいます。で、皮折り用のペンチを使います!
 ともあれ、落としても壊れず、ずっと変形しないおりがみ作品、そんな発案は面白いでしょう。

『みみずく その1」
「みみずく その2」
「埋もれた石像」
「怪しげに笑うガマ」


 それにしても、薄い開閉出来る板の中に、文字から写真から絵から動画まで記録出来るばかりか、計算までやってくれ、そしてさらにはそれらを、世界中どこにでも送ってくれる。そんなパソコンなる機器の氾濫は、喜ぶべきことなのか? 私などの頭ではまったく解らない!
 まあ科学的には明らかに進歩した記録器具でしょうが、人間の頭脳が、自ら考えることを止めたとしたら、それって?

2019/06/12

残念なこと

電子機器などとは、無縁な方々が!

 私がこんなブログを始めたとき、「あの方にも、あの人にも、」と、これを見ていただきたい方々を脳裏に思い浮かべました。しかし、先頃、私は実に大きな錯覚をしていたことを教えられることがあり、はっと気付かされました。
 それは、見ていただきたいと思っていたあの人もあの方も、そうなんです!パソコンだのケイタイだの、そんな(あわただしい機器)などと無縁に、ゆったりと生きて居られる方々です。

 まあ私は、郵便より便利な(Eメール)のためにパソコンを使い始めましたが、電話で話すことが苦手な人間とて、ケイタイというものは生涯持たないつもりですから、…ああ!あの人も、あの方も、当然こんなブログなんか見るわけがない!と、気付いたのでした。

 で、そう気付いた以上、もうこのへんで止めようと思いました。しかし息子は『のんびりでいいから、もっとやりなよ。それに楽しく見てくれている人も居る筈だろうしさ。』とのこと。
 まあ確かに、これはある種、私の老後の楽しみかも知れませんから、息子をもう少し煩わせてみようか、とも思っています。でも、メールは知っている人との会話ですから、具体性があって気持ちが分かります。

 しかしブログは、どんな人が見てくれているのか、そのあたりは漠然としていますね。インターネットというものは、とても不思議で、ある面不気味でもあります。一度見て、「えっそうなんだ!」と思ったものが、しばらくしてもう一度見ようとすると、消えてしまっている! 不思議で不気味です。
 自分は、こんなものに関わっている年代の者ではない? そんなふうに思っても、今やこうなっては、捨てられない!

 パソコンだって、なんだかんだで、もう3台目! でも正直な話、ブログのことはもう自慢の種も尽きていますし、層々面白い話も思い付きません。

…でもまあ、一人よがりでも、もう少しやってみますか。酒やツマミを買いに歩くだけじゃあ、あんまりかっこいい老後ではありませんもんね。

 おっと、そうそう「昔、始まりの物語 第2部」もうちょっとのところまで来ました。
 でもこの(もうちょっと)が難物で、「ここまで来たら、もうかんたん!」と思った途端、ぴたりと指が止まって既に半年!
 でもね、自分で言うのもなんですが、この話、正に(奇想天外)だと自負しているんですよ。

なんか楽しい話題ネタが出るように!と
火縄銃型輪ゴムピストルでもぶっぱなして
みましょうかねえ!これ厚紙製ですよ。 




2019/06/09

私の新たな妄想!

おりがみの世界で

 おりがみという素晴らしい世界を知って、その中で半世紀の余を楽しく過ごさせてもらいました。そして、残りの人生も最後まで楽しませてもらうつもりです。
 だって、おりがみって、やってもやってもその底が見えないほど奥深い世界なんです!つまりは、楽しさに終わりの無い世界なんです。で、ある日、この素晴らしい世界をまだ知らない人々に向けて紹介する、プロモーション映像の制作(!)といったことを妄想しました。

 その時思ったのが、先の「イメージ・ゲームその3」での発案(おりがみ卵細胞)のことです! 正方形に、CGで(折り線分割)が動画表現される。と、そこから(シンプルで象徴的な造形作品)が飛び出して来る! これが形を変えて、次々と出現する。鳥あり、動物あり、昆虫あり、…。

 次に元気でかわいいこどもたちが現れて、出現したそれらの作品とたわむれる。続いて「おりがみキューブ」がころころと転がって次々と現れる。その中の一つに、(ベロを出しているキューブ)があり、それが巨大な大きさに拡大されると、中からそのベロのような帯に乗って、こどもたちが滑り降りて来る。

 話はちょっと逸れますが、昔、イギリス映画で、アンデルセン童話にモチーフをとった「赤い靴」というのがありました。モイラ・シエラーという美しいバレーダンサーが主役です。
 その劇中劇のような形で、悪魔の作った真っ赤なバレーシューズを履いてしまったら、死ぬまで踊り続けねばならないという場面で、悪魔の誘惑に負け、それを履いてしまった彼女は、くるくると踊りながら広場に来ると、いっぱいに散らかっていた新聞紙が、風で舞い上げられると人の姿(実は悪魔)になり、赤い靴を履いた彼女とダンスをする!

 実はこの場面が心にすごい印象となって残っていて、…卒業論文に「おりがみを舞台美術の新しい素材として活用する」といったテーマで書き、はい!(優)を取った!
 そして製薬会社の宣伝課に入社したとき、おりがみアニメでのコマーシャル作りを稟議し承認されたとき、映画「赤い靴」のことを心に思い出しながらコンテを書き、実現させた。(前にこの話、しましたよね。)

 とまあ話は横道に逸れたようですが、今ならCGというすごい表現手段があるので、そういうのを使えば、かつては不可能と思われていた表現もきっと実現できるように思うのです。(その頃は、モノクロフィルムでコマ撮り撮影だった。)
 さて、空想を続けてみます。

 そんなこどもたちに、おりがみ恐竜が襲い掛かる! 逃げ回るこどもたち。と、巨大な「おりづる」たちが飛来して、こどもたちをその背に乗せて救出する。(あっこれ、ロード・オブ・ザ・リングの大鷲からのイメージね!) そしてこどもたちを下ろしたところは、おりがみの花が咲き競うおりがみ遊園地。

 その中にはいろいろな乗り物があり、こどもたちを乗せて動いている。その中に「メリーゴーランド」があり、その回転する馬は「ペガサス」で、それにこどもたちは乗り、くるくると回る。やがてこどもたちを乗せたペガサスは舞い上がり、宇宙へと向かう。

 と、そこに様々な「宇宙人」や「宇宙生物」が次々と出現し、こどもたちにいろいろと問い掛ける。「折るってなーんだ?」「紙ってなーんだ?」「おりがみってなーんだ?」
 そこに「おりがみ天使」登場。これらの問いに答えるようなそぶりを見せるが、答えをはぐらかす。例えば『折るって、切ることと同じよ!』などと。 戸惑うこどもたち。

 と、そこに今度は「おりがみの魔法使いのおばあさん」が登場し、さっきの「おりがみ天使」は(人さらい)で、騙されてはいけないと注意する。

 ところで、二昔ほど前、映像広告の仕事をやっていた大学時代の親友が、おりがみビデオの仕事を持って来てくれて、実現しました。大手化粧品メーカーの資生堂からの依頼です。1週間以上、銀座のスタジオに通って、とても楽しい映像の世界を実現しましたが、このときも、ときどき「赤い靴」のことが頭を過ぎりました。
 おっといけない、また寄り道してしまいましたね。空想世界に戻ります。

 首を傾げるこどもたちの後ろに、すごく美しくて大きなフレーベルの(模様折り)の屏風(びょうぶ)が現れ、喜んだこどもたちは輪になって踊り出す。そしてその踊りの輪はやがて(電車ごっこ)のような一列となると、屏風の形の方も変わって、まーるい(でんぐり)となった形の中心へと、こどもたちは連なって飛び込んで行きます。

…とまあここから、私の空想妄想はクライマックスへと向かいますが、まあ興味ある方はこんな空想ゲームにご参加下さり、皆さんなりの空想をお楽しみ下さい。
 いずれにせよ、おりがみって、手芸遊びであり、パズル遊びであり、空想遊びであり、それから、それから、…なんでも有る世界です!

ベロを(メジャー)にして、「メジャーボーイ」と名付けたキューブ。


2019/06/06

(千羽鶴折形)の、最後の難問?

「瓜の蔓(うりのつる)」の正解は?

 おりがみ古典資料の至宝、「千羽鶴折形(せんばづるおりかた)」の最後の難問として存在するのが、「瓜の蔓」だと思います。理由は、この完成形と、用紙の切り方図の間には、かなり大きな齟齬(そご=食い違い)があるからです。

 なおそんな齟齬は、この「瓜の蔓」だけではなく、多数の作例にそれが見られます。例
えば「八橋(やつはし)」、「昔男(むかしおとこ)」、「呉竹(くれたけ)」、「九万里(くまんり)」、「四つの袖(よつのそで)」、「鼎(かなえ)」、「早乙女(さおとめ)」、「荘子(そうじ)」、「杜若(かきつばた)」、そしてここで取り上げた「瓜の蔓(うりのつる)」と、全49種の作例中、実に10点に明らかな(完成形と展開図との不一致)が見られるのです。(「千羽鶴折形」についてまだご存知でない方は、「おりがみ新発見3 日貿出版社」をご参照ください。)

 でも、まあ9種については、単純な間違いで、…それはこのような(連鶴)の考案者魯縞庵(ろこうあん)さんと、絵師、あるいは著者秋里籬島(あきさと りとう)さんとの間の(情報伝達のミスか、勘違い)でしょう。
 そして「瓜の蔓」についても同様な問題だろうと思います。とまあそのような判断からこれをむしろ(楽しいパズル)と考えて、私なりに解答を得まして、いくつかの自著にそれを示しました。

 ところがその後で、岡村昌夫先生から、原本の展開図にきわめて近い解答が示されて、私は「ああ!そうだったのか!」と、すっかり感激して、自身の解答を否定してしまいましたが、…その数年の後、改めて原本完成図をじっくりと眺めた結果、この完成形図を優先して考えるなら、私の解答がやはり正しいのではないか?と、そう思うところと成りました。

 とにかく、原本と、岡村先生の(シンメトリーに捉われない)見事な解答と、私の(かなり大幅な変更)による解答とを、下にご紹介しますので、ご興味のある方はどうぞ考えてみてください。
 ともあれおりがみって、こんな例から見ても、実に高級にして興味深いパズル遊びなんですよ!

原本での(瓜の蔓)です。
日本折紙協会発行の(復刻版)から。

子鶴の部分を、下側にして描き直した
図です。ここで、子鶴の姿をよく見てい
ただくと、それは完全に(独立)した形
でしょう!もしこのことを最優先にした
とすれば、岡村先生のものは、微妙なが
らこの完成図とは異なっているのです!
手前の(子鶴)の羽の先を見て。 

岡村先生の解答は、上図のようになります。それに
対して、左上のX図の私の解答では、ほぼ原本の完成図
と等しくなっているのです。なお、(ざぶとん折り)が
描き落とされたものは、実は他にも有るのですよ!