2020/02/26

◯△⬜︎

イギリスおりがみ協会(B.O.S.)のブックレット

 私はブログ開設での「ごあいさつ」で、BOSに招いていただいたお礼の思いで、「ブックレット92号」を書かせてもらった話をしました。(自賛だけではなく、事実においてこのシリーズには、所持している数十点程を見るに、意欲的な著作が多いように認識しています。だから私もチャレンジの意欲を持って書いた。)

 数年にわたって(!)続けている片付け作業の中で、このブックレットのためにくふうした奇妙なものが出て来たので紹介しましょう。

「◯△⬜︎」と題した作例だ。下の写真をご覧あれ。よく見ると、(5角形)や(6角形)までありますよ。
もうちょっと良いアングルで写したかったが、力不足。

 なおこんな(お遊び)の中から、ちゃんと題を付けた作品が、次の写真のもの。これは題して「ガラス窓を這い登るカエル」!
これも上の写真同様、構成力不足。いや手抜き。

2020/02/22

(等分割)のこと

“勘(カン)折り”こそベスト!

 おり紙を数理上で正確に折る、という理論は必要ですが、それが現実には適応されないケースが多いことは前に述べた。 すなわち紙にはわずかでも(厚さ)があるから、理論上の精度は折って行く過程で壊される。
 そんな現実から、計算が不得手な私は、(近似解)や(カンによる“微調整”)などを好んで求めます。
 特に(辺長の等分)で(3等分)は、決まってカンで(微調整)して折ります。そしてこれこそ最善と考えています。無駄な目安線が付かないからです。
 であるとき、この(カン折り、微調整)の技法が(5等分)や(7等分)でも出来ないか?と、考えたことがあります。

 下の写真を見てください。(3等分)と(4等分ーこれはカンの必要はないですね)とを並べて見ると、(3等分ー前にやりましたね)では、(色面と裏面とが1:1)であるのに対して(4等分)では(色面と裏面とは1:2)ですよね。
 このような、(1:1)や(1:2)の比率は、ちょっと目の訓練をすれば、正確に折ることはすぐに会得出来るものです。

 そこで(5等分)なら、(3等分折り)のときと同様、手前と向こう側へと(たわめ)てみて、色面と裏面が(1:1)と思えるところを微調整すれば完成!
 次に(7等分)なら、同じくたわめてみて、色面と裏面が(1:2)と思えるよう微調整すればいい。
左が(3等分折りの1:1)右が(4等分
折りの1:2)。こんな比率認識は、練習で 
   習得が可能でしょう。              
重なって見えますが、全体の幅と等しい
ものが、向こう側に重なっているわけです。
     左が(5等分)。右が(7等分)ですね。

 さてこんな(カン折り)を縷々述べたわけは、前項にて「3×3の市松模様」を(7回の折り)でするのに、小松英夫さんは(1マスを7分の1サイズ)で解答されました。これを追試するのに、私はこんな(カン折り)を用いたのです。 もちろんこのパズル問題には(等分割)の規定はありませんから、上記のような折りは数えませんので、考える必要はないのですが、おりがみの美意識では、きれいに折るこそ大事ですね。

 ところで、私が(9等分)を用いたのは、(3×3)からの思いですが、小松さんは(7等分)、川畑さんは(8等分)とそれぞれ違う比率を採用したわけは何でしょうかね?

 勝手な想像ですが、小松さんは(7回折り)から(7)。川畑さんは、スタートの(8回折り)から始めたから? なお3×3を(6回の折り)での難問については、私は(6等分)で考えています。が、これでまだ出来ないので、等分数を変えてみようか、との思案も有りますが、…ともかくも超難問、楽しい! しかしいつできるだろうか!?!

お詫びと訂正:(市松パズル物語 1)で、川畑文昭さんのお名前の呼び方を、   (KawaBata)としてしまいましたが、(KawaHata)さんでした。お詫びして訂正します。

2020/02/18

市松パズル物語 2

アメリカの名人の凄さ

 3×3の市松模様を(6回で折る)という凄い問題に、楽しく悩まされている中で、ともかく「市松模様」を、下図のような一般的な(8回折り)とは別の折り方は?と考えて、色々と折ってみると、折り回数は減るどころか、どんどんと増えて…9回、10回、11回、…でもまあ、ともかくも(市松模様)となるところまで手は止まりません。

 でも、それを手にすると、何回折りでも楽しくなる。つまり折ること自体が「おりがみの魅力なんだ!」というわけなんですよ。
素直な折り方での(市松模様)は(8回折り)が必要。

 ところで、私がふた昔以上も前に、こんなおりがみパズルを楽しんでいた頃だった。アメリカのおりがみ名人ジョン・モントロール(John Montroll)さんが、驚きの本を出版された。(おっと、市松折りの話の発端は、この本の話題からだったかも知れない。)

「ORIGAMI INSIDE-OUT Antroll Publishing Company 1993年刊」がそれで、これには何と!(不切正方形1枚折り)にて、8×8の「チェスボード(Chess Board &Table」の折り方が示されていた!
 これは(15cm)のおり紙でもちゃんと折れた。 まあ今のコンピューターおりがみ蔓延の時代では、これなど易しい部類の作品かも知れないが、当時は本当にびっくりさせられたものだった。
モントロールさんの凄い著書

 なお彼は同じこの著書の中で、「縞々の尾のあらいぐま(Raccoon)」や「縞模様まで折り描いた虎(Tiger)」や「ツートンカラーのいくつかの幾何立体図形(Geometrics)」など、頑として全てを(不切正方形1枚折り)に徹していて、あっぱれだと思った。

 私にはこんな芸当をする技量は無いので、逆に、「2×2の表裏共に市松模様」なんていう考えの方に向かう。これは、テレビを見ながらでも楽しめる類のものだ。 いずれにせよ、(おりがみパズル)はいろんなスタイルで考えられるだろう。そしてそれらはいつも指と頭の体操となってくれるのだ。

2020/02/14

市松パズル物語 1

(パズル懇話会)で聞いた話から

 もうふた昔も前のことです。私は(パズル懇話会=Academy of Recreational Mathematica
Japan)」という、大変レベルの高い会に入れてもらっていました。
 大学の先生や著名なパズル研究家などが多く、入れてもらったのは嬉しいものの、月一回の集まりで発表される事柄の半分近くは理解出来ないものですから、窮屈感が強かったのですが、気楽な飲み屋での二次会が魅力で、それで何年か留まり続けていました。

 さて そんな集まりの立ち話の中で、『おりがみで(市松模様=checker)を(3×3)で折ることを考えると、常識的には(8回の折り)が必要だが、当会のエースの一人はそれを(7回の折り)で可能だと、前に発表してましたよ。』と教えてくださる人がおられました。
 帰宅して試みてみると、いやっー!こりゃ難しい! 私は三日掛ってやっと答えを手にしました。

 ともかく私なりに答えを得たので、この話をおりがみ仲間に自慢げにしたようです。すると、これが密かに伝聞されたようで、しばらくの後『私も出来ました!』とて、答えを手渡されました。東京の小松英夫(Hideo Komatsu)さんがその解答者で、…私の解答より(一回り大きく)出来たものでした。
 つまり同じ(7回折り)でも違う折り方なのです。 私はパズル懇話会の方の解答を知りません。だから、それが私と小松さんのもののどちらかと、同じものか違うものか? ともあれ「答えは一つではない」ことを知ったわけです。

 ぐっと下がって2012年の夏のことです。久しぶりに会った愛知の川畑文昭(Fumiaki Kawabata)さんが、このパズルのまた別の答えを提示してくれました。 そしてこの解答はまた別の折り方のものだったのです。私と小松さんとの解答の、丁度中間の大きさになるものでした。
 具体的に言いますと、小松さんの答えは(全体を7等分したサイズでの3×3)。川畑さんの答えは(全体を8等分したサイズでの3×3)。そして私の答えは(全体を9等分したサイズでの3×3)とて、サイズ面からは私が最下位?
左から、笠原、川畑さん、小松さんの(7回折り)解答

 ところで、です! 2020年、つまり今年の川畑さんからの年賀状に、とんでもない記述がありました。『私の友人が、3×3の市松模様折りに、(6回折り)の解答を見つけました!』
 本当かい!? 7回折りでもあれほど時間が掛ったのに!? 川畑文昭さんって、大いに真面目な方です。 で、この話を心から信じて考えています。…しかし、一ヶ月半考えてまだ答えを得ていません!

 世界最難問と自称する(21・スクエア・パズル)の二つの未解決問題と違い、この超難問には答えが在ると知らされているのですから、頭のトレーニングとして、こんなに楽しい話はありません。でもムズ過ぎる!

 なお、探求の途中で楽しい造形を得ました。 それは写真の「6回折りの、市松模様のハート」です。(要するに、3×3の1コマが足りないものです。)
6回折りの「市松ハート」