2019/11/13

フレーベルの美麗式

その中にもパズルが有る!?

「フレーベルの美麗式」という彼の発想の根本は、“わずか1折りの違い”が、大きな造形変化に繋がる面白さの、こどもへの伝達ということだろうと思います。
 が、そのフレーベルの美麗式に関わる資料の中には、「えっ!」と思わず叫んでしまうほどに、(難しいパズル)があることを発見しました。それが下図の造形です。
1895年、ロンドンとグラスゴーで出版された英文の
書、「おりがみの教科、フレーベルの“こどものための手技
工作”  の一つ(Couse of Paper-Folding  One of Froebell's Occu-
 pations for Children)」著者はエレオノール・ヘーエルバルト
(Eleonore Heerwart)。この資料の中に、上のような(部分反
転パズル)といってもおかしくない(難問?)があったので
す。初めて見る方はぜひチャレンジしてみてください。  
  なお正確に言いますと上の形の色分け、原書は中心部も白 
なのですが、私の好みから、中心部にも色を出しました。 

ところでこの(パズル案)を得たのには、エピソードがあります。以前、沖縄の島袋保子さんが、年に一度、信州おりがみ交流会「りんどう」の大会にご参加された帰り道に、お仲間と共に戸塚まで来てくださり、食事をご一緒しながら、楽しいおりがみ談義に時を過ごすというのを恒例にしてくださったのです。

 一年に一度の出会いとて(七夕会“たなばたかい”)なんて呼んでいましたが、まあお互い歳をとり、いろいろと体に不都合なことも生じ、今は楽しい思い出になっています。
 ともあれ本当に楽しい集いでした。で、私はその会合の一ヶ月前くらいから、何か会合の思い出に結び付くものをと、考えます。まあ、隠居の身では、お金の掛からない(おりがみ関連の記述プリント)くらいしか出来ませんでしたが、それを(おみやげ)とすることを考えてやってきました。
2012年のプリント

 島袋さんは、何よりも(フレーベルの美麗式)がお気に入りで、沖縄からこの(美麗式の再評価)の普及活動をされました。そのこともありましたので、私はそれに賛同するプリントを作り、上記のような(おみやげ)を考えたのですが、その中で、この中に(すごいパズル)を発見して、このときのプリントの(目玉)としたのです! それが上掲のものです。 私はこれの解答を得るのに、ほとんど1日掛かりました。

 ところが、ところがです! この(七夕会)に常に参加してくださっていた埼玉の左方文子さんは、あっさりと解答されたんです!
 かくて前項の「表裏胴白ちょうちんパズル」は、彼女のことを大いに意識して考えたのでした? はっはっは、もち冗談! 事実はただの偶然の産物で、…だけどきっと、あっという間に解答されちゃったかもね。

2019/11/09

「ちょうちん」反転パズル

既に答えは得ているのに、…

 1996年に、双樹社から出版された「ジョイ・オブ・オリガミ」は、自分でもよく書けた一書だと自負しておりますが、その中で伝承の「ちょうちん(又は風鈴)」の部分反転パズルを紹介しています。(“風鈴”のタイトルの方を作品採用すれば、部分反転は必要なくなりますよね。)



伝承「ちょうちん」の(部分反転パズル)

 そしてそこでは、上掲の通り、既にいくつもの解答を示しています。だからこれは完結したパズルなんです。
 しかし最近、同じく伝承の作品で「切子とうろう(目玉ちょうちん、またはお化けちょうちん)など、いずれもこれの作品名」の部分反転パズルのことを楽しんでいる中で、再びこのパズルの(難しい!?解答)を得ました!

 変な話でしょう! 素直ないい解答を既に得ているのに、なんで今更!ということですが、現代のおりがみでは、あえて難しい折り方のものを求めることに、快感を覚える向きもあること(!?)を知っていますから、まあ、そんな人たちの(受けを狙って)紹介してみようか、と思った次第です。
超難しい「表裏“胴白”ちょうちん」のパズル。
なお、明かりの灯る部分を、私は(胴どう)と呼ん
でいますが、間違っているかも?        

左の黄色いのが(かんのん折り)からの「ちょうちん」
右の橙色が(ざぶとん折り)からの「切子とうろう」。  
  そして今回紹介した「表裏“胴白”ちょうちん」は、右の  
「切子とうろう」から見付けたもので、もちろん切らずに 
作らなくてはいけません。パズルですから。       
なお、上段が表面で、下段は裏面です。       
   
 ともかくこれ、ほんとうに難しいパズルですよ。そして、前に紹介した「サイコロキャラメル・パズル」考案者同様、私も『パズルの楽しさと苦しさ、そのどちらも味わっていただくために、答えは教えません!?』
それにしても、(おりがみ部分反転パズル)奥が深いでしょう! おっと、難しくてストレスを感じたらどうぞ中止してください。「楽しくなければ良いおりがみではない。」が私の主張です。でも私自身は、超難解おりがみパズルの発見に大喜びしていますがね。

2019/11/05

博士の愛した数式

感激した映画から。

 作家小川洋子さんの名作「博士の愛した数式」を、小泉堯史(こいづみ たかし)監督が、平成17年に映画化されました。とても素晴らしい作品で、心を揺さぶられると共に「ああ、数学って本当に美しい学問なんだな!」と、しみじみ思わせてもらいました。もちろん本の方をまず読み、そこでも感激したことです。

 なおこの小川さんの小説について、数学面で協力をされたのは、藤原正彦さんだったとのことです。テレビに出られていて、何度かお話を聞きましたが、すごく魅力のある数学者ですね。『数は、宇宙の生まれる前から在った!』映画の中で語られたこの言葉、藤原先生はテレビで言っておられ、大いに感動しました!

 さてドラマの中で、博士から愛され(ルート)とあだ名を付けられた野球好きの少年が、やがて高校の数学教師となって、生徒たちに数学と博士の魅力を語ってゆく、というストーリー展開ですが、映画では当然映像で数学の意味を教えてくれるので、私の頭にもその思考するところが理解されました。
 階乗(かいじょう)、虚数(きょすう)、素数(そすう)、友愛数(ゆうあいすう)、完全数(かんぜんすう)、…そして最後に、博士の愛した数式「オイラーの公式」まで、…知るだけで楽しい!(ーマイナス)を(+プラス)に変えることで(0ゼロ)と結び付ける!という小川さんの構成の見事さ!

さて私に数学の楽しさ、面白さなどを教えてくださった阿部恒(あべ ひさし)さんは(ユークリッドの“比例”の考え)の応用から発見された(立方根の折り出し法)からスタートし、やがて(フェルマーの最終定理)の意味だとかのびっくりするような話をして教えてくださいました。 ああ、楽しかったあの頃。
(上記のような話は、1989年にサンリオから出版された「おりがみ新世紀」の“付記 折り紙最前線レポート”に解説しています。)

 まあ阿部さんの慧眼から見たら、相当低い次元の話になってしまうでしょうが、でも低い次元こそわが道と思う私には、(初等幾何とおりがみ)といった教材案を、楽しく探したいのが念願です。
 だからこれからも、(やさしく楽しい教材案)を、時にはパズルのスタイルで紹介してゆきたいと思うのです。

2019/11/01

これはもう(教材)?!

(中間)の考えから、深入り!?

 今、1折りでおり紙(=四角い色紙の方の意)の、(色面)と(裏の白面)の大きさを(1:1)とする折り方、を考えたとします。
 これなど「やさし過ぎて、考えるのもバカバカしい!」と言われそうで、…すなわち、3分の1の長方形を折ればいいわけですね。(写真1)

写真 1


 しかし、これを(対角線上での1折り)で考えると、こりゃ中高生の本格的な数学問題になってきます。

 でも私は、これを(正多角形すべてを“中間の視点”で捉えるのやり方=前項での解説)と同じように、小学生にも解るような方法で、考えます。 すなわち、この正しい位置は(1:1)となりそうな、やさしい折りで、その正解の前後のものを見付けて、「正解はその(中間)に在る!」とするわけです。要するに(絵解き)というやつですね。(写真2)
        写真 2
まずは辺を(3等分)と(4等分)したもので、
その(正方形)か(正方形の半分=三角形)で、色面
    と白面の数を数えてみます。               
  すると、左の3等分では(色面)と(白面)とは、 
    2:5で、白面が圧倒的に広い。             
 次に右の4等分では、色面:白面とは、4.5:7と
て、やはり白面がずっと広い。まあこのように小数点
が付いてしまうようなときは、正方形を3角2つと数
えて、9:14とした方が、小学生にはいいですね。
上の実験から、今度は(5等分)と(6等分)
で見てみると、左の5等分では、色面:白面は、 
8:9で、やはり白面がやや広い。ところが今度 
6等分では、色面:白面は、正方形を2と数えると
ほーら、25:22で、白面の方が小さくなった。
 すると色面と白面がきっちり同じ広さになるもの
   は、この2つの(間に有る!)と分かるのですね。   
                           
ほらね! 答えは(中間に有り!)というわけ。

 ただし、この例題での正解は、まったくの(計算)で求めるしかありませんでしたが、そんなこととは別に、(正解の姿を感じ取る)のが大事だと思います。

各辺を3等分した、つまり全体を9等分
してから√2/3が答えとなりますが、そんな
のは、興味の薄い事柄ですね。      

2019/10/28

答えは“中間に在り”

私のおりがみセオリー(theory)と(くふうのコツ)

 半世紀以上おりがみという(遊び、またはパズル、または美術、または教材、…etc.)を楽しませてもらって来た中で、私なりに会得した1つの(発見のコツ)といったようなものが有ります。

 このブログの始めの方の項「回転折り(コンパス折り)」の紹介において、定規とコンパスの使用範囲の内では、(正7角形)の作図は(不可能)とされているが、私のセオリーにおいては、「楽々作図出来る(正6角形)と(正8角形)の(中間に在る図形)」と考えれば、おりがみ的な解答が見付かるだろう!と言う考え方を元に、結果を得ました。それらは既にご覧いただきましたね。

 あるいはまた、紙を折るという行為を、(ぴったりと折って、その結果の形=formの変化)を求めるものと、(折ったら開いて、その折り目=creaseの意味)を考える、との二つの行為の(中間に在る“半開”状態=half-opened shape)に注意を向けることで思い付いた「イメージ・ゲーム=Image game」。
 この(半開折り)での視点は、(紙を“小口=edge”から見る造形)という、新視点のものも考えられ、イメージの幅を広げてくれるのですね。

 まあともかく、私はこんなふうに(中間=middle)というものに(くふうのコツ)を得たのですね。下図がそのことの説明です。
(中間)は無数にあることになります。




2019/10/24

コップと正5角形

(似て非なるもの)の楽しさ

 前項の(コップの折り方)とそっくりな折り方から始まるも、まったく似て非なるものがあります。写真に見ていただくと、…「コップ」の方は、その(斜めの辺の目安点が、1:√2)となっているのに対して、この似るも異なる折り方では(目安点は、1:1)と単純です。
左が「コップ」の折り出し。では右は?

では右は何かと言えば、これは(アメリカ方式の“正5角形”折りの目安)なのです。さて(正5角形)という図形の作図は、決して単純なものではなく、まあ大胆な言い方をすれば、「近代の幾何おりがみの出発点は、正5角形の正確でやさしい作図法の追求」だったとも言えると思っていて、そしてこの課題は「決着がついている」と、はっきり納得するには至っていないようにも思えますが、…
アメリカ方式の「正5角形の作図法」
理屈の上ではわずか誤差があるので、一応
は(近似解)なのだが、現実に折るとき、
それは途中で吸収されてしまう。    
しかしそんな中で(1:1の目安点)から折る(アメリカ方式の正5角形折り)は、これが近似解(*)であっても、現時点で最善のものだと思っています。
 これを私に教えてくださったのは、(OrigamiU.S.A.)の前身「ニューヨーク・オリガミセンター」が発行していた、季刊新聞「ジ・オリガミアン(The Origamian)」の編集長であった、アリス・グレイ(Alice Gray)さんでした。

* 理論的に(正)となる(正5角形の作図法)は、今から100年以上前の1905年に、インドの数学の先生、T・スンダラ・ロウ(T.Sundara Row)さんにより導き出されています。しかし、このように、理論上の精度はおりがみの実際においては生かされない場合は多い。事実このロウ先生の折り方では、神経を研ぎ澄まして折らないと、まったくもって(正5角形)は取り出せない。

 このロウ先生の「正5角形の作図法」を、ご著書「折り紙の幾何学(日本評論社)」で紹介された伏見康治先生は、これの改良を試みられ大いに改善されたが…それでもきれいに折るのがかなり難しい。(目安)には、(取り易いもの)と(取り難いもの)とがあり理論的なものでは、どうしてもこの目安が取り難いものが多くなるようです。

 つまり、実際には(わずかでも厚みのある紙)を折り、なおかつそれが重なって行くわけで、理論上の精度は、この紙の折り工程で大抵は壊されてしまうのです。だから、始めからこのズレを“誤差”として見込んでの近似解の折りこそいいのではないだろうか。
 そんな意味合いにて、私は上記(アメリカ方式の正5角形折り)が(楽しく折れて、なおかつ精度が高い)これが最善だと思っているのです。