2019/09/28

味をしめて

「いるか」発見!

 前項で、(比率変化)というちょっとした思い付きが、「ことり」を「白頭わし」に変化させてくれました。
 でこのことに(味をしめて)、この新しい(ことりの基本形)を、無作為に折り進めてみることを楽しんでいましたら、あれ!「いるか」が生まれましたよ!
 まあ、おぼろに得られたイメージを大切に、細部の折りをくふうして納得の形にしたことは言うまでもありませんが。

「いるか」

中央上から(時計回り)での「イルカ」の折り方
無数に在る(長方形となる2分の1)形

 前の項で、フレーベルから学んだ「おりがみで面積を考える。」のことで、フレーベルが3つに止めたものに、「もう一つ“5角形となる2分の1形を見つけた!」の話と共に、長方形には無数の折り方が在る、とのことをパズルにしましたが、判りましたよね。
 でもまあ、念のために写真で示しておきましょう。

右上のような(任意点)で折ったものなら、無数ですね。



2019/09/25

ことりの基本形

(シルバー矩形)との繋がり

 前の項で、(ことりの基本形)が出て来ましたが、改めてその形や「ことり」の姿を示します。(写真1・2)
 この「ことり」という伝承作品は、その完成形がかわいいだけでなく、前項で見ました通り、楽しい(幾何の図形)や(やさしい数理)とも繋げられる(教材効果)もあるものでした。

 さて次に、前項での(パズル)の答えの姿を(写真3)に示します。 ところで、この白い(面積1:2)の正方形の出方の上下を入れ変えたものから、(ことりの基本形)と同じ折り方をしてみたら、(写真4)のような形で「白頭わし」が現れました!
(ことりの基本形)の(比率変化)という思い付きが、思わぬ収穫となり「やったー!」


           写真1 「ことり」
次のことに、何の証拠も根拠もありませんが、
私はこれは大正時代に考えられたもののように思い
ます。何故って、大正ロマンの香りがするから!?
 なおこの形を(基本形)として取り上げたのは、
私が最初なんです。              
             写真2
(ことりの基本形)の姿は、正式には真ん中のもの
ですが、今日では右の変化形も同じく(ことりの基本
形にしています。いや失礼、こんなことを決めたのも
かく言う私のようです。はっはっは。       

写真3


写真4
上部に2、下部に1、の面積比から
出来た(新しいことりの基本形)です。

はい! 「白頭わし」アメリカのシンボル。
なお、下の台座は、(織り紙)の「正12面体」

2019/09/22

(比率)のこと

(1:2)の比率

 さて前項では(おりがみで“面積”のことを考える)というのを解説しましたが、ここでは同じく面積に関わるものですが、ちょっと視点を変えたものをご紹介します。それは、(比率)という数理に親しむものです。

小と大の正方形→(1:2)の面積比
上の形は(ことりの基本形)から得られる
形です。だから、すぐに折ってもらえますよ
ね。さてこの形に私が魅了されますのは、こ
こに見える白い2つの正方形が、(1:2の
面積比の関係)にあることです。     
面白いと思いませんか? ではその関係をど
うやって証明しますか?ねっ!これパズルで
しょう!                
 そしてさらに面白いのは、この全体の大き
さが、折る前の紙の(2分の1)になってい
ルことです。この事実は、下の写真の通り、
同じ大きさのおりがみで(ざぶとん折り)し
た正方形と比べて見ると分かりますね。  



さてではパズルです。

 上で見た白い二つの正方形は、その面積が(上部が1、下部が2)の関係ですが、これを(上部が2、下部が1)と変えてください。
 上のものを上下入れ替えるとて、これをぐるっとひっくり返せばよい、とトンチでの回答はだめですよ。

2019/09/19

「1折りパズル」

おりがみで(面積)を考える。

 この見出しタイトルは、前項で示した(玉川学園教育博物館)との繋がりが出来て、初めて知ったフレーベルの教えです。 当ブログの始めの方で、『おり紙の表の色面で、裏面の白をきっちりと、“過不足無く覆い隠し”、それぞれ形が異なるような(2分の1形)には、3通りのものがある。』とのフレーベルの教えに対し、私はそれには「もう1種考えられる!」とのことを発見した!
(注:4種の2分の1形の中の“長方形”は、折り方は無数にあります! この事実もパズルとして考えてみてください。この答えは、また後の項で。)

 さてずっと前の項で、上記のような自慢話を致しましたね。そしてそんな自慢の発見の興奮は、その後もずーっと尾を引いており、かくて何年か後に「1折りパズル」なんていうのを思い付いたのでした!

 その一部を具体的に示しますと、次のような形に(1折り)を加えて、「色面と白面との面積を同じにする折り方を見付けるパズル」です。

 答えはあえて示しませんが、楽しく考えてみてください。 なお、こういうことを考え始めますと、そこに「おりがみの教材価値」が強く認識されることが痛感されることでしょう。

上のような(折り形)は、色面と裏の白面の大きさが
異なっていますね。そこでこれに(1折り)を加えて、 
色面と白面が等しい大きさになるようにしてください。 

2019/09/15

「はながたつつみ」?

フレーベルを知る前に

 先日実に久しぶりに、古い著作の掲載作品につき、読者から問い合わせがありました。それは、「おりがみ むしとはな 有紀書房 昭和45年(1970)刊」の中に紹介していた「はながたつつみ」についてのものでした。

「はながたつつみ」?…?…?

 はるか昔に書いたこの本は、…正直な話をすれば、結婚し独立して生活を始めた頃の作業で、折り図はもちろん、表紙の絵から作品写真まで自分で撮ったもので、まるまる一冊でいくら、として売り渡したものでした。(要するに、当時まだ駆出しの私には、交渉力も契約に関する知識も乏しかったのです。)

 ともかくこのようなスタイルで、…まあ、2、3ヶ月に1冊書けば、生活が成り立つかも知れないと考えて始めたわけです。

 そしてそんなスタイルでの生活が、数年続けられました。そこで、いつも「今度はどんなテーマで?」というような次のプランに思考は向けられていました。

 かくて、結局10余冊の非印税出版を続けました。でも、とにかく(本好き人間)とて、売り渡しであってもそれなりに楽しんで作業したことです。それに大事なことは、本は(記録)として残るわけですし、そして今回のように、何十年経っても読者と繋がっていられるということです。
(なお、著述を職業と決めるその前に、久保書店、日貿出版の2社は、お願いするまでもなく、きっちりと印税契約をしてくれました。)

 しかし、やがて気持ちにも少し意欲が出たところから、私なりの(おりがみ理念)もはっきりと主張すべく、そのためには責任も明確にとて、結構ハードな交渉をしなければならない場合もあったものの、ともかく決心してからは、印税契約の作業だけをするようになったのです。

 ともあれそんな経緯のため、心理において、売り渡して刊行されたもののことは、だんだんと記憶は薄れ、そして…今回のように問い合わせがあったときにやっと見直します。

 だからこの著書を見るのは、何十年か振りでした。そして開いてみて、懐かしい思い出が思い出されたのですが、なんとそこには、内山光弘さんの「花紋折り」のことを記しており、それに倣うような気持ちからでしょうか、「はながたつつみ」などと名付けた私なりの「畳紙(たとうがみ)スタイルの作例」を紹介していたのです。 でも本当に記憶から消えていたものなんですよ。

 さてそんな経緯で思い出した「花形包み(はながたつつみ)」ですが、改めて見るに、かなり拙い思案のものでした。
 そして今にしてじっくりと思い返せば、この頃の私はフレーベルの「美麗式(Beautiful System)」のことは、よく知らなかったか、あるいはまったく興味が無かったかのように思っています。

 私が「美麗式」に関心を持ったのは、昭和60年(1985)の頃、かつて小学校の校長をなさっておられ、そのご経歴から独自におりがみ史を調べておられた林正之(はやし まさゆき)先生のお声がかりで、玉川学園教育博物館との繋がりが生まれたとき、フレーベルのことをいろいろと学ぶ機会が訪れました。
 そして、(おりがみ実技)の中心に在るのが「美麗式」だと知ったことによります。

 で、すぐに「最新折り紙小百科 日本文芸社 昭和63年(1988)刊」に、新しく知った(62点)の「美麗式」を紹介しました。
 そしてこの頃、上記博物館でもご一緒していた高濱利惠さんも、時を同じくしてこれを紹介するご著書を刊行なさいました。正に切磋琢磨(せっさたくま)する同志でした!

 まあかくのごとくにて、私の(パターンおりがみ)の最初の、わずか11点の作業「花形包み」に(拙過ぎる)ものを外し、現在の視点にて付け足したもので(20点)とし、写真紹介します。

 このような造形変化は、正にフレーベルが「美麗式」に込めた理念通り、(“1折り”の違いが、大きくイメージの異なるパターンとなり、こどもにも“くふうの喜びの実際”を味わわせる!)でして、容易に、楽しく、どんどんと増やして行けるものなんです。

11種のパターンだけのものから、20種
に拡大してみました。これらは全部「入れ物」
になっています。つまり「花形包み」です。 
  なおこの折り方には(左回り)と(右回り) 
 がパターンの違いを生み、それがまた楽しい!