2017/04/29

また見つけた “11” !

また見付けた「キューブ “11” の不思議」

 最近はもうあまり “おりがみ” をやらなくなりましたが、「キューブ」だけは例外で、今でもときどきくふうを楽しんでいます。…そんな中で先日、池上彰さんのTV番組で、宗教の解説をしておられるのを見ていたら、『イスラム教の信者は、一生に一度はメッカに巡礼しなくてはならないが、そのメッカでは(カーバ神殿)を訪れることなのですが、その(カーバ=Kaaba)というアラビア語の意味は、(立方体)ということです。』と伺い、とても驚きました。

 といいますのも、私はこれまでいくつもの著書の中で、「キューブ(Cube)=立方体」の探求は私のライフ・ワークですと公言して来ましたから…もしも、間違って曲解されて、(カーバ)の探求者か?…愚かな私のバカな被害妄想を思ったりしてしまいましたが、でもともかくどうしたって、「キューブは素晴らしいテーマです!」

 さて、その「キューブ」で、(8つのパーツを組んでキューブ型にし、それを下からポン!と打つと、それがバラバラに解けて飛び散ることから「キューブの花火」と題した作例をくふうし、紹介したことがあります。

 でも実は、これは昔ドイツのおりがみ仲間を訪問した折に、(12枚の“ふうせんの基本形”)を組んで、それを下からポーンと打ってバラバラにする!との、実に見事なおりがみアイデアを教えられ、…それって確か「蝶の舞い」といった作品名だったと記憶していますが、…ただこの(12枚の組み方)が、すごく組み難かったので、…これをもう少し組み易く出来ないか?…の思いからくふうしたものです。

 いや、前置きが長くなってしまいましたが、…この(8枚組み)のキューブの形を(2色)で組むとし、結果、その2色が「等しい表面積で同じ形を示すような組み方は、全部で何通りあるか?」との問題を思い付き、…やってみましたら、それが(11通り)という答えになったのでした。

(キューブの平面展開図が“11通り” )とあいまって、「 “11” は、キューブと深く繋がっているのかも知れない?!…なんて思ったりして。

11の解答の中の、3例


「キューブの花火」11種の(同形)2色組み

2017/04/27

ファンタジーと童話

妄想のファンタジー

 ファンタジー(Fantasy)と童話(Children’s story or Fairy tale)とは、大きな違いがあるようです。そして私は、ファンタジーを好み、そしてそれを書いているのです。もちろん(素人)ですから、プロの方の目から見たら、まあボロボロなものでしょう。…でも私はそんなボロボロなものでも“書くことが楽しくてたまらない”のです。

 それはまったく、ファンタジーの語義通りの空想世界です。

 さて一方、童話というのは、何らかの具体的な意図を子供たちに伝えたいとの願いが込められたもののように思うのですが、私の思うファンタジーには、そのような願いはまったくありません。

 それは私の頭の中に沸き起こる空想(Imagination,Fancy,Fantasy)や妄想(Delusion)を、ただただ楽しいと感じて、自分のために書くだけで、その妄想がだれかになんらかの影響を与える、といったようなことは、まるで考えにありません。そもそも妄想(delusion)の語には、「間違った信念、思い違い」などの意味があるそうですから。

 一人妄想の世界に浸り、それを思い出しては文章にする。そんな行為にはほとんど金はかかりません。ただそんな夢を、ひとにも知らせてみたい、との秘めやかな欲望だけはあるようですね。かくてこんな「つぶやきエッセイ」をやってみている次第です。


世に溢れる嘘と欺瞞

 ダン・ブラウンや加治将一という作家により、歴史上、世界中に溢れていて、我々がすっかり信じ込ませられていたことに、恐ろしいほどの嘘や欺瞞が満ちていたことが暴かれると、ものを見る目が、どんどんと疑い深くなる。

 しかし世の中って実に保守的で、勇気ある作家によりそんな歴史のインチキを白日の下に晒されても、波乱を拒否する保守的な勢力から、それらは(黙止)される。

 そう!世の中って、安全のために波乱を求めないのですね。私の「昔、始まりの物語」では、現代のように〝複雑怪奇“となってしまった人間の心に対して、ジョウモン人だったらどう対処するだろうか?といったような視点から物語の筋道を考えてみたわけです。…あーあ人間の心理って、なんとも複雑なんですね。(あっ、そうそう。五木寛之さんの「風の王国」は、どうやらジョウモン人の末裔たちの話のように思われました。素敵な作品でした。…それからもうひとつ、私の生まれた長野県の、諏訪湖の近くに古代人の遺跡が発見されているそうですが、どうやらジョウモン人に繋がっているらしい?…まあ、余談はこのへんで。)

 おりがみとか、おまけおもちゃなんぞが好きな、幼稚な心理の私には、歴史を動かしている現代人の複雑な心理など、まるで判らぬままに生きていて、そして、おりがみという(童心の世界)の探求に人生を捧げてきたんですよ。でもねこれ、幸せの秘訣!だと思っているんです。

2017/04/25

作ってもいない「サタンの顔」

見る位置で変わる表情を楽しむ「イメージ・ゲーム」

 おりがみ用紙のセットを買うと、中に保護材のボール紙が入っていますね。ほとんど人はこれがおりがみに使えるとは思っていないでしょう。しかし私が思い付き提案した「半開折り(Half-opened crease)」という造形表現の材料として、この保護材のボール紙を、水でびしゃびしゃに濡らして、やわらかくなっているうちに素早く折り目をつけて、そして形を整えて乾くのを待つと、落としても壊れない新感覚のおりがみ造形となります。

 そんな1例として「なまはげの顔」を作りましたが、実はこの「なまはげの顔」、見る角度で表情がかわり、…なんとプロフィールで見ると「サタン」となりました!

なまはげ

サタンのプロフィール

2017/04/23

あと7つ?

11の世界(11−4で、あと7つ?)

 この頃気になる数字があります。 “11” です。自然数列の2桁最初の素数。そして私がおりがみ探求で、ライフワークのテーマと決めた「キューブ」の、(平面展開図)の種類の数。

 このキューブの展開図が11種類というのが、何故か奇妙に思えてなりません。

 キューブ、すなわち「正6面体=立方体」で、正方形面の数6、辺の数12、頂点の数8、と偶数の要素ばかりなので、11が奇妙に感じられるのでしょうかね?

 何年か前、NHKTVで「美しい大宇宙=Elegant Universe」というアメリカで2003年に制作された科学番組が放映され、すごく心惹かれて見ましたが、その中で、この宇宙を構成する力学を統一する理論として「ひも理論」というのが有り、それは最も真実に近い理論ではなかろうかとて、世界中の頭脳がその検証に情熱を傾けているとのことが紹介されていました。そして、中でもアメリカの物理学者で数学者でもあるエドワード・ウィッテンという人の “M理論” というのが、最先端に在るとか。ただそこで導き出された方程式が成立するためには “11次元” という高次元で考えねばならず、これが世界の頭脳を悩ませているとも紹介されていたのです。つまり私たちの住む世界は、(前後)(左右)(上下)という3次元に、 “時間” の1次元を加えた “4次元” で、…それ以上の次元を理解することは、土台無理な相談だからだと。

 つまり、11-4=7で、あと7つの次元って何か?…というわけなんですね。

 さてさてところで、おりがみ以外ではすべてに門外漢の身が何を言おうが、笑い話にもならずただ聞き流されるでしょうから、ここに気楽にさらりと言ってしまいますが、…ある日の白昼夢で私は、この7つの次元のことがすらっと判ってしまった!!!

…改めて言うまでもなく妄想ですが、…ともかくそれを言ってしまえば、(右回り)と(左回り)、(内)と(外)、(剛)と(柔)、そして(反転)の7つなんですよ。
…それってなんのこっちゃ???

 1枚の紙を睨んでいましたら、ともかくこんな7つの新次元が、紙の中のミクロの中に見えてきちゃったのですから、もう仕方ない!?

 さて今は、次元というものを “整数” で考えて来ました。しかし、ベノア・マンデンブロさんという、偉大な頭脳の持ち主が、(フラクタル幾何学)という、簡明ながらも常人には予想外の思考から導き出された理論により、(分数次元)というようなものが現実のものとなれば、次元数などにはまったく拘束されなくはなりましたものの、気持ちの上では判ったようで分からない? 例えば(1.58次元?)って何!

 あ、そうそう。話はまったく違いますが、先年おりがみで「十一面観音」というわれながら傑作をものにしました。

聖十一面観音の顔

2017/04/21

コンピューター以前の驚異の映像「ミクロの決死圏」

 私の読書好きのことは、既に言いました。しかしそれにはかなり偏りがあるようで、…たとえば「名作百選」などの一覧を見ると、私の読んだものはほんの2,3しか入っていないようです。一方、好きな作家の作品は、文庫本で全部読みました。

 松本清張、高木彬光、アーサー・クラーク、アイザック・アシモフ、…など。ところで今その名を揚げたアイザック・アシモフの(ロボットシリーズ)は、とくに夢中にされたので、これだけは上製本を揃えて読みました。ダニール・オリボー、それが主役のロボットの名まえですね。

 ところでアシモフさんは、れっきとした大学教授で、生物学の先生でもありました。そのアシモフさんの「ミクロの決死圏」は、まだCGなどの映像技法の無い時代、映画職人の技能を結集して映画化されましたが、その見事さ、美しさに、それはもうスクリーンに釘付けにされたものでした。

 このアシモフさんのSFにて、人間はその体内に宇宙を持っているんだ!ということを教えられたものです。そしてやがてアシモフさんの描き出したようなロボットが、ほんとうに産み出されたとき、設計された純粋な精神はダニール・オリボーのような存在であってほしいと願っています。

2017/04/19

グリコの思い出の(おまけ)

磁石コマの思い出

 私の記憶の中に、「磁石コマに、薄い鉄板を型抜きした(へび)や(歯車)をその軸に付けて回すと、その(へび)が出たり入ったりしたり、(歯車)は、ぐるぐると廻る!」…という実に心をときめかしてくれる(おまけ)があります。

 いや、もしかすると、これってグリコのおまけではなかった?との一点の疑いも無くはありませんものの、…やっぱりグリコだったなあ!…のように思っています。

 まあ私には記憶だけで、実物はありませんから、目を閉じた記憶の中だけの存在ですが、…ああ!あれは良かった! 復刻したら、今でもきっと人気が出るでしょう!…と、そう思っています。きっと同じ思い出を持っておられる方はいるでしょうね。もしあなたがそうなら、これでもう一度遊んでみたくなるでしょう!

 ともあれ、大いなる情熱が込められているのに、それは(主役)ではなくして、(おまけ)というのが、…ああ!そんな行き方がなんともいいですね!

2017/04/17

おもちゃピストルの夢

平和志向者にはおもちゃピストル

 武器への憧れの根底には、私が小柄ということがあるのかも知れません。体の大きさに関わらず強くなれる刀、そして銃など、いつも手づくりしていました。
 もちろんそれはおもちゃです。そしておもちゃの武器類は、フェンシングの剣や日本刀から、弓矢にパチンコ銃にピストルなど、木や竹でいつも手づくりしていました。

 基本的には、刀剣は形だけですが、銃器は何かしら(弾が飛ぶもの)のくふうで、やはりピストルがいちばんの憧れのものでした。弓矢はたとえおもちゃでも、ものを壊しやすいので(襖や障子に穴を開けるなどで)、紙の弾か輪ゴムを飛ばす銃器が主体でした。

 そんな興味を植付けられたのは、西部劇です。映画好きだった母が、時折近くの映画館に連れて行ってくれたことから、ジョン・ウェインの大ファンとなりました。そして最初は「ライフル」が欲しくなりました。大男のジョン・ウェインにはピストルよりライフルが似合い、映画の中でもピストルよりライフルを構える姿が多かったものです。だから最初にくふうしたのがライフル型木製パチンコ銃で、これは精度も高くて的当てに熱中したものです(…青木の実とか紙のタマを飛ばすもの)。後年思い出して復元したものを今も大事にしています。(私の家は、青年期から世田谷区の下北沢でした。そして昔は映画館が駅の近くに在りました。そして、おりがみの古典の知識を与えてくださると共に、内山興正師や千野利雄氏そして高濱利惠氏などと引き合わせてくださった、中西康夫氏や宮下温氏との出会いは、この家に居た頃のことです。…本題から外れる話ですが。)

 そして次に憧れたのが「リボルバー型のピストル」で、あの弾倉が回転するメカニズムがどうしても判らず、それだけに一層憧れたものですが、…とにかく(連発)ということが、なんとかくふうしたい願望でした。

 と、アメリカのおもちゃメーカーのマテル社というところが売り出した、「輪ゴム連発銃」という傑作を駄菓子屋さんで見付けて、これが願望を実現してくれて、いちばんの愛用銃でしたが、亜鉛ダイカストのそれはよく部品が折れました。ピストルの(撃鉄)に当たる所を十字型にし、そこに輪ゴムを順次複数仕掛けて、それが一つづつ飛ぶようにしたスグレモノなんです。後年、これを厚紙で「リボルバー型」にしたものを作って、懐かしんだものです。ああ、つい先日です!百均でこの懐かしい輪ゴム連発銃の、プラスチック製のものを見付け即座に買いました。

今年(2017)の2月、百均で見つけた!

 リボルバー型のピストルに憧れたきっかけは、やはり「シェーン」のアラン・ラッドで、その早撃ちのかっこよさは、映画の中のシェーンを慕う少年と同じく、目を見張ったものです。そして小学生の頃から手づくりに打ち込み、かなりかっこいいのを木で作りました。(もちろん弾倉は形だけで、回転などしませんが。)ともだちに自慢しようとてそっと学校にまで持ち込んで、先生に見付けられ、取り上げられた!

 そしてそれは返してもらえませんでした。多分(よく出来ていた!?)からだと、今でも思っています。近所の大きなおにいさんから『おれにも作ってくれないか。』なんてよく言われたものです。(弾倉回転のメカニズムは、後年プラモデルで解りました。)

 とまあそんな経緯から、私のおもちゃの武器への興味は、今なお続いており、なんとおりがみでもピストルをいくつもくふうしました。そしてまた刀剣も!

伝承作品「はかま」から、おりがみ輪ゴムピストル

本当は「エクスカリバー」が作りたかったが、おもちゃ刀になった。

上記マテル社の輪ゴムピストルを、形を変え、厚紙で作ってみた。

2017/04/15

教材案

阿部さんの教え

 阿部恒さんからは、数学に関連したいろいろなご教示をいただきましたが、そのご教示の中の一つに次のような話を伺いました。

『小学校の算数の授業で、その教え方の順序が間違っていると思うことがあるんだよ。それは、まず最初に(足し算)と(引き算)を教わる。次に(九九)を覚え、その後で(掛け算)を教わり、いちばん最後に(割り算)となる。』
『でもこれが間違いで、こどもが日常生活の中で最初に出会う算数は(割り算)だと思うよ。たとえば(おやつ)を食べるとき、その菓子が複数あるもので、兄弟など何人かで食べるとき、(分ける)という必要に出会うだろう。つまり(割り算)だよね。
 ここにいくつ足すとか、いくつ食べたから残りはいくつだとか、こどもはそんなことはほとんど考えないだろう。そうなんだ、(割り算)こそ最初なんだよ。』
『ところでさ、(おりがみ)できっちり折るという行為は(割り算)と等しいと言えるよね。だからさ、小学生の算数の授業に正方形の紙を与えることを提案したいね。』

 これって卓見だと思います。そして私の思うに、小学生だけでなく、中学生に、あるいは高校生の数学の授業にも(正方形の紙、すなわちおりがみ)を教材にすることを提案したいものだと願っています。少なくとも(数学嫌い)を減らすのに、おりがみは必ず役立つだろうと信じています。

 ところで、阿部さんと同じようなご教示を、伏見康治先生からも伺ったことがありました。『数学での“証明”を言うとき、一般には(proof)と言いますが、幾何学においては、(demonstration)と言います。そしておりがみにおいては、正に(目に証明する)のですから、デモンストレーションですね。これがおりがみの優れた点だと思いますよ。

 さてね、今世界中で、美しい古典幾何学が教育現場から消え去ろうとしています。私はこんな現状を、おりがみは(そんな現状を変える先兵となれる)と、ヤノケンさん(数学者、矢野健太郎さんのこと)にも言っているんですよ。』(今から30年くらい前の話です。)
 さてさて、これは私には(特ダネ記事)ですが、伏見先生は阿部さんのことを「フリーランスの教育者」と呼んでおられた、とは阿部さんご自身から伺い、そして阿部さんは、『これほど嬉しい評価はない。』と言っておられた。お二人の関係の素晴らしさ!

 さてさてパズルの項で紹介したものも、そんな阿部さんや伏見先生への返答としての、一つの案になるかも知れないと思う、もう少し教材的な思い付きを紹介してみたいと思います。


“16等分 ” の折り目から

 正方形のおりがみ用紙に、縦横それぞれを(4等分する折り目)を3本ずつ付けます。すると、それは(16の小正方形)に分割されます。
 こんな、どうということもない(おりがみの基本の折り)によって、実にいろいろな数理が見えてくるから、おりがみって面白い!
 この(16等分)の折り目を利用すると、いろいろと解ることが出て来ます。

1.辺の長さの5等分が出来ること。
2.“相似3角形“ ということが判ること。(3角形の内角の和=2直角)の数理の応用。
3.“ピタゴラスの定理” を身近に思えるようになれること。
4. いろいろな無理数などが取り出せること。

 考えれば、これらの他にもいろいろと楽しい数理が判明し、「おりがみって、確かに良い教材!」が判ってくるでしょう。ともあれ、(考えること)が、目で行えるわけで、これって(教材)たる資格を示していると思います。




シルバー矩形の面白さと穏やかな日常

 シルバーって(銀)や(銀色)のことで、これに年齢(エイジ)の語を付せば、高齢者のこと、つまり私のことでもあります。そしてオリンピック、パラリンピックでは、金に次ぐ第2位が銀。

 さて、長方形について、最も美しい第1位のものを「黄金矩形=ゴールデン・レクタングル」と呼び、それに続く第2位を「銀色矩形=シルバー・レクタングル」と呼びます。私がしったかぶりに解説しなくとも、皆さん先刻ご承知のことですよね。

 ところでことおりがみについては、私は(黄金矩形)より(シルバー矩形)の方が、はるかに楽しく応用力もずっと高いように思っています。そして、(おりがみの実際から言う)ならば、…いえ、私個人の感覚から言えば、「おりがみでは、黄金矩形よりシルバー矩形の方が、はるかに面白く可能性も高い長方形だ!」と公言出来るでしょう。

 ただし、(おりがみと長方形)というテーマでは、私としては、第1位は「2:1の長方形=正方形の半分」で、第2位は「3:1の長方形」、そして、第3位に「シルバー矩形」を置きたいと思います。どうしてかと言えば、シルバー矩形は日常生活の中でもっともありふれた存在であり、楽しい成果をもたらせてくれる用紙形ですが、制作や説明を子供などにするのが難しいのが難点で、よって私はこれを第3位にしたわけです。


新聞紙と折込ちらし

 新聞紙というのは、シルバー矩形(√2:1≒1.4:1)という比率のものだと思って来ましたが、新聞紙でのおりがみをやっている中で、「おや?これって、シルバー矩形とは違う長方形では?」と思いました。つまり、シルバー矩形とは、半分、半分、…と折っても、長辺と短辺の、その比率が変わらない長方形ですが、新聞紙はそうではないようだぞ?…

 その通りでした。すなわち、新聞紙の比率とは(2:3→3:4→2:3→3:4…)と、半分に折るごとに二つの比率を繰り返す長方形でした。
 このような事実を、家から新聞紙と折り込みチラシを持ってきてもらい、それらを(折って確かめる)ことは、それは「おりがみの教材化」を意味すると思う。
 因みに、チラシ広告の多くは(√2:1)のシルバー矩形だったのだ。


シルバー矩形と非シルバー矩形の見分け方

 手にした長方形が、シルバー矩形かそうでないか、との判定に(折ってみる)という手段が考えられます。その手段をご紹介しましょう。


2017/04/13

忘れられない二つの仕事

「木のどうぶつ」

昔、小学館で幼稚園関係の仕事をたくさんさせていただいていた頃、「木のどうぶつ」のデザインの仕事依頼がありました。ものすごく嬉しくて、今でも忘れられない仕事でした。




「紙製の輪ゴムピストル」

 阿部恒氏が、サンリオで「縁日の夜店」をイメージしたイベントをプロデュースされた折、『紙工作で“輪ゴムピストル”をデザインしてみてくれないか。』とて、モデルガンを添えて依頼されました。そのモデルガンは「コルトガバメント」という奴でした。(私には、モデルガンへの興味はほとんどありません。
 私の興味はあくまでも “おもちゃ銃” で、そのコレクション数は、数百になるでしょう。おっと、エアガンは好きで、これも百を越えるでしょう。)

 ともあれ私がボール紙などで、輪ゴムの連発銃としてデザインしたものが写真のものです。また、中学生の頃からくふうし手作りしたものもあり、大人になってから思い出してそれを再現してみたものもいずれご紹介しましょう。



 先日、テレビ番組にて「ガチャガチャおもちゃ」の人気炎上!?とて、羽田空港だったかに「ガチャガチャ・マシーン」が何百台も設置され、海外旅行者に大人気とのニュースを見ました。

 私の興味は(国際的!?)だったのか、と嬉しくなったところです。しかしまあこのような(ミニュチュア嗜好)あるいは(サプライズ嗜好)あるいは(かわいい嗜好)などは、別に私の個性的なものではなく、昔から一部に有った興味のようです。しかし、こんな興味の存在を知ると、ああ、これって普遍的な興味なのかなあ?と思ったり、…ともあれ、こういうのは、平和志向の人間の、根源的な性行なのかとも思ったりします。

2017/04/11

ミニチュアの魅力

ミニチュアの魅力

 おりがみのことをパズルに譬えて語ってきました。がその一方、造形美術として探求する思いもあることを、先に述べました。

 千野利雄、伊東万耀というお二人の先生が、作品として示されたものから教わったことです。

 さて、精緻な造形、象徴的な造形、思い切りディフォルメしたシンプルな造形、…一口に造形美術と言っても、そこには様々なスタイルがありますね。しかしここですべてに共通する要素として挙げられるのは、…たとえば「象」であれ「大鷲」であれ「くじら」であれ、はたまた「恐竜」であっても、(手の上に乗せて眺め楽しめる)ことです。

 つまりそれは(ミニチュアの魅力)です。…さて話はよくとびますが、私は少年の頃からグリコの(おまけ)のファンでした。私の少年の頃のそれは、確か亜鉛ダイカストの汽車や、ブリキを打ち抜いて作ったおもちゃなどだったように記憶していますが、…ともかく小さい中にもごまかしが無く、いずれにも心をときめかせられたものでした。そしてそれはやがてプラスチック製のものとなり、ますます魅力的なものになりました。

 やがて、グリコのおまけのような(ミニチュア玩具)は、それをプラスチックのカプセルに入れて、コイン投入で販売する(ガチャガチャ)が登場し、私は息子をダシにしてよく買いました。10円の頃からのファンです。それが今は200円で、多分コンピューターによる(型)で作られたものでしょう。きわめて精密な造形のものとなったようで、…そこに時代の急速な変化を感じます。(紙での印刷本から、電子出版の時代へ。…そんな時代変遷の証ですね!)

グリコのおまけの、働く自動車たちを(おりがみの道路)に飾ってみました。


 さて今は、コンピューターを使っての(超精密な造形の1枚折りおりがみ)が、内外の名人によって続々と発表される時代になりました.古い私には、それらはただただ驚きのもので、眺めるだけで満足ですが、…私にはここで、おりがみとミニチュアおもちゃとの共通性も覚えたことでした。

 でも一方で、「おりがみとは、復元を楽しむもの。」とのかつての私の主張は、もうカビの生えたものとなったかも知れないと思えば、いささか切なくもあります。

 私の(グリコのおまけ)や(ガチャガチャのおもちゃ)のコレクションは、遊びに来てくれる孫たちにも人気で、何時間もそれらで遊んでくれます。孫たちが帰った後、それらを改めて眺め、…私のおりがみは、千野先生が教えてくださったように、「1辺が15センチの、ごく一般的なおりがみで折れて、だれでも復元して手の上に乗せて眺められるようなもの」…それが「我がおりがみの理想」だと確信させられるのですが、そんな感情はもはや郷愁といったもののようですね。

 まあ、皮肉っぽい言い方など止めて、私の(ミニチュア・コレクション)のあれこれを、これから折を見て、おりがみ作品と共に童心を込めて展覧させてもらいましょう。

ガチャガチャの精巧なおもちゃピストル

これもガチャガチャのマシンガン でもおもちゃっぽい

グリコ ラーメン屋台

グリコ 三輪車

2017/04/09

空想生物

「木」というテーマ

 私はこれまで随分多くの「木」をくふうしています。が、中でも「こりゃ良く出来た!」と悦に入っているのが「エント」です。

「エント」って何? 知らない方にご説明しますと、イギリスのファンタジー作家J・R・R・トールキンの名作「ロード・オブ・ザ・リング」の中に出て来る、歩きまわれる大樹の精霊のような存在の(太古人間)で、ファンゴルンという森の住人です。『男エントばかりになって、女エントを捜しているのだ。』と、ホビットのピピンやメリーに嘆きを語ります。





このファンタジーを読んで、私なりに得たイメージをおりがみにしたものですが、表情がいろいろと変えられるところが自慢です。




ダジャレ

 木の幹を2本にしての(木)は、木+木で、…つまり「林」とのダジャレでの作例に、旧作ながら気に入っている「休む牛」をコラボレートすることで、牧歌的な風景を構成してみました。

2017/04/07

出版履歴と本の思い出

本好き人間

 自分で自分自身を分析(アナライズ)してみると、どうやら私のいちばんの興味と意欲の対象は「本」のように思う。それは “読書” と “記述” の二つで、…読書ということでの
思い出は、…高校時代、試験の最中に図書室で物語を借りようとして、係りの先生に注意され貸し出しを許されなかったので、図書室で夢中になって読んだ記憶にあるのが、ジョージ・ガモフ著「不思議の国のトムキンス」というもので、…後年おりがみを通じてお近づきになれた、わが国理論物理学の泰斗、伏見康治先生がこの書の翻訳者であられたことを知りびっくり仰天したことです。当時の私は、この本は空想科学小説だと思っていたのです。(いえ、そう思っても楽しい話。)

 ところがこの著者ジョージ・ガモフという人は、『この宇宙は大爆発から始まった!』という、あの「ビッグバン理論」の提唱者だったことを、伏見先生との出会いで知ったことなのです。…おっとつまらぬ余談ですが、このときの物理の試験では、初めて0点をとった! 図書係りの先生の忠告を聞かなかったせいですね。

 次に、この作家と同じ時代に自分が居ることの幸せを感じるほどに好きだった松本清張さん。その清張の文庫本を、昔の朝日新聞社のビル内のアラスカという喫茶店で読みふけっていて、ふと目を上げたら前方に松本清張さんご本人が居られた! 声を掛けるなどの勇気はまったくなかった。…でも、サインもらいたかった!

 まあなんの意味もない話のように思われるでしょうが、…私と本の結び付きを言いたいのですね。似たような出来事は、小学館ビルの中で、手塚治虫さんの姿を見たこと。ベレー帽でかっこよかった。サインもらいたかった!

 恥かしがりやである私は、敬愛する有名人の実物を目にしただけで満足するべきでしょうね。後年、ミステリー作家の佐野洋さんとは、おりがみ好きの佐野さんの方からのお声掛りにて、何度かお会い出来る機会がありました。背が高く理知的で魅力的な方でした。

 私は映画やテレビを見ることが大好きです。でも、映像でイメージが固定されてしまう映画やテレビより、やはり本が好きなんです。もっとも、本で抱いたイメージをさらに上回るほどに見事に作られた映画は、本に等しく大好き。たとえば「ロード・オブ・ザ・リング」や「ホビット」を見事に映像化したピーター・ジャクソン監督は、すごーく好きです。CGというのですね!ありゃすごい!

 そしてそんな本好きが、おりがみの図書とは言え、自身で本の記述をするようになるとは、思えば不思議なことです。

 ともあれ、おりがみに熱中することで、優れた先輩の先生方と巡り会える中で、私は先輩の先生方に何故か大いに愛されるという幸運を持っていたように思われてなりません。

 私が夢にも思わなかった出版依頼という出来事に遭遇した大本(おおもと)は、内山興正師に由ります。京都安泰寺という禅宗のお寺のご住職であられる一方、先生のおばあさま、そしてお父様(=内山道郎氏=内山光弘はペンネーム)と、3代にわたっての(おりがみ継承者)であられた内山師は、おりがみのご著書を(ひかりのくに社)と(国土社)という、仏教関係の出版を主とする出版社から出されており、一般の出版社からの依頼は、義理に従われてか、お断りになられておられたのでした。かくていろいろな経路を経て、盛光社という出版社から私のところにおりがみの図書の依頼が来ました。結果実現したのが「母と子のおりがみの本」でした。そしてこの私の処女出版は、当時人気絶大の画家、岩崎ちひろさんにより夢のような装丁となり、…このこともあったのでしょうか、画家の千野利雄先生のご推薦をいただき、EXPO‘70の松下館でのタイムカプセル収蔵図書に選ばれ、なんと!5000年後の未来へと残されることになるのです!

外部リンク:タイムカプセルEXPO'70[収納番号 No. S-17-8-1]

 当時私はまだ20代(24才)でした。処女出版が5千年後まで残る! 宝くじに当るよりすごいことだと思いました。

 なお、このタイムカプセルは大阪城の側に同じものが2つ埋められ、その一つは状態を見るために “50年後” に掘り出されるとのこと。…それは私が80才となったときです。…生きていたら見に行きたいものです。

 内山興正先生,千野利雄先生、伊東万耀先生、伏見康治先生、…私は幸運の星の元に生まれた者のようです。

母と子のおりがみの本


来世でも座右に!

 前記の通り、私の処女出版は未来のために埋められました。でも私が自身の棺に入れてほしい書は、…それから11年後に小学館から出版された「学習図鑑 紙とおり紙」です。この本の実現には、素晴らしい編集者の方々とカメラマンの、今思い出すだけでも胸が熱くなる善意の皆さんのご支援を得て、1年の時間を懸けて出来た本です。

 私はこれまで、実に “170冊” の本の著述と編集に関わって来ました。いつも全力で作業したつもりですから、どの1書も自慢です。…でもそれらの中から座右の1書を選べと言われたら、この小学館発行の「紙とおり紙」です。でも今はもう残念なことに絶版となってしまいました。お持ちの方は、どうぞ大事にしてくださいね。

 おっと、「棺に入れて」は喩えで、そんな無駄は止めてくれ。

紙とおり紙

2017/04/05

タングラム

おりがみタングラム

「21(トウェンティワン)・スクエア・パズル」発案の基には、実は「タングラム(七巧板)」という今から200年余前に中国で考えられた造形パズルで、今なお世界で広く愛好されているものとの関連の思案が在ります。
 そしてこの「タングラム」をおりがみで作るというくふうは、かなり昔にやっていました。
 ところで「21・スクエア・パズル」について、それを(全20ピース)と限定するにつき、その根拠が必要でした。そこで思い付いたのが「タングラム」によるということでした。すなわち(2分の1形)は、20ピース以外にも多数考えられるものの、その形が「タングラム」で並べられないものは採用しない、とするならそれは(全20ピース)に限定される、というわけです。
 そんなわけで、その「タングラム」の(7ピース)を、同じ色のおりがみ8枚で作る折り方を次にご紹介します。それによって、「21・スクエア・パズル」の全20ピースの形を並べてみてください。

 おりがみで「タングラム」を作る。という試みは、私の知る限りで4例在る。そしてそれは、いずれも違う折り方のものでした。そして私はそのいずれとも異なる(2例)をくふうしましたが、ここに示したものが私の最善案です。

「タングラム」全7ピースの折り方図





2017/04/04

究極的難解パズル!

超難解パズル発見!

 阿部恒氏、いやもう阿部さんと呼ばせてもらいましょう。その阿部さんに4種の2分の1形発見の話をし、「これがもっと拡張でも出来たら面白いパズルになるでしょうが、これ以上は在りませんよね。」と言いましたら、阿部さんは即座に、…『1本の“切込み”を許せば、形の種類はぐんと広がると思うよ。』とおっしゃいました。

 なんと嬉しいご教示だったでしょう! このご教示から“究極”と言ってはばからない超難解なパズルの発案に至ったのです。それを名付けて「21・スクエア・パズル」。1982年のことです。
(不切)なんていうことを信奉していたら、道を外れてのこのような(セレンディピティ=幸運の発見)は得られなかったでしょうね。

『1本の切り込みを許せば、』との阿部さんのアドバイスから、(不切の4形)からその種類を5倍に拡張した(20種)のすっきりとした(2分の1形ピース)が見付かりました。


この全20種の中には、(ざぶとん折りでの“正方形”)が当然入っていますが、20種のいずれかを複数合わせての(正方形並べ)を考えてみたとき、2ピースと8ピースでの正方形はすぐに見付かりましたものの、…これを最大数(18ピース)での正方形並べは可能だろうか? その思いが超難解パズルの発案でした。

 この発案は、おりがみ教室や講演の機会が得られる毎に、多くの人々に提示しましたが、大半の方々からの返答は『無理でしょう。』というものでした。
 そんな反応が逆に追求の意欲に繋がったようです。
しかし、その後何年も、ときどき思い出しては試みてみましたものの、…やはり、まったく解答は得られませんでした。

 やっぱり大方の予想通り不可能問題だったのか。そんなあきらめの思いが起きかかりました。…が、その前に、今考えている正方形の辺の長さを(有理数)のものと考えるならば、(無理数)となる正方形が考えられ、それは(4ピース)と(9ピース)の2種が在る筈と気付き、4ピースの正方形はすぐに見付かるも、9ピースは無理であることが確認出来ました。…そう判ると、(9)の倍数の(18)は、それが(有理数の辺)とはいえ、やっぱり無理かなあ、の思いが強まりました。

 と、発案から16年後の1998年の正月のこと、朝日新聞に次のような記事が出ました。
『異なる大きさの長方形のチップを、最小面積に並べるという問題を考える。このとき部品数が8個より小さければ、最小面積となる配置を数時間で割り出せるが、部品数をそれより多くすると計算量は爆発的に増える。たとえば20個ほどを計算するのに、150億年以上の時間が掛かる。ということが判った。』

 これは東京工業大学の先生方のグループが、大規模集積回路の設計のために考えたことで、結局(最小)ではなく(できるだけ小さな面積)と近似計算とすることで、…500個でも6時間くらいで解答の得られるプログラムが出来た。とそんなニュースでした。

 元より問題が違うので比べることは出来ませんが、たとえば「タングラム(後で解説します。)」でのピース数(7ピース)が、「21・スクエア・パズル」では(20のピース)と、…なんだか東京工業大学の先生方の話と似て聞え、…『150億年』もの難しさの言葉にかえって蛮勇が引き出されたのでしょうか、(18ピースでの正方形並べ)に解答を得たのです! 実に解決までに16年!…この日の酒のうまかったこと!

 なお、18ピースでは(長方形)に並べられることも判り、これには(2例)の解答を得ました。
 とまあ解答が在ることが判れば、パズルは成立しますから、…その後内外の友人や知人に「共同で商品化して、ルービックさんのように金持ちにならないか?」と呼びかけてみましたが、金銭欲の少ない善人ばかりの友人のためか、…今なお私一人の楽しみになっています。(この“私一人の楽しみ”とは、まだ“未解決”の問題がいっぱい在ることを見付けているから。)


“21” の意味

 ところで「21・スクエア・パズル」のネーミングの “21”の意味は? 実はこの(18ピースでの正方形並べ)を考えている途中、使っているピースと同じ形の(穴)の空いた、17ピースでの正方形が、ひょこっと出来たのです。つまりこれは、1つのピースを2個使えれば正方形に並べられる、ということです。すると、20種のピースそれぞれについて(17ピースでの“穴空き”正方形並べ)という、20の問題が新たに考えられるかも知れない?…そんな思いになりました。するとこれに最終問題の(18ピースでの正方形並べ)とで、(計21の難問)。

 またこんなことを考えていた頃は、21世紀が目前の時でもありましたので。それにも懸けての(21)ということです。なお、(17ピースでの “穴空き” 正方形並べ)20問は、18ピースでの正方形並べより数が20倍ですから、その全問解答には最終問題解答よりさらに半年の時間が掛かりましたものの、無事全20問に答えを見付けました。

 なおこのパズル、上掲の諸問題以外に、山ほど難問が考えられて、正に(究極の超難解パズル)と宣伝してはばからない。ところで、「ルービック・キューブ」は実に優れた機能性とファッション性があるのに対し、わが「21・スクエア・パズル」には、そのどちらも無く地味ですね。…ヒット商品の夢はやはり無理のようですかね?…おやまあ。

2017/04/03

図形パズル

おりがみパズル発見!

 ある日一人で喫茶店でのんびりぼんやりと考えていたときです。…片面だけに色がプリントされ、裏面は白のおりがみ用紙を(きっちりと目安をとって折って)、裏の白を色の面で(過不足なく覆い隠し)、そのそれぞれの形が異なるといった折り方が(4種)在るということに突然気付きました! これは膝を打つ喜びの発見でした。(今から40年近く前の話です。今は、…2016年に書いています。)

 そこでその頃お付き合いが始まっていた、阿部恒氏とおっしゃる炯眼の士で、私の(数理)の面の蒙を啓いてくださることになる先輩に、早速その発見をお伝えしました。
 ところでこのすぐ後のこと、幼稚園教育の創始者、ドイツのフレーベルの論文の中に、おりがみの基本の折りで、1.向かい合う辺と辺を合わせて折る(1:2の長方形)と、2.対角を合わせて折る(直角2等辺3角形)、そして3.正方形の用紙の中心に4つのかどを折り集めた(正方形=ざぶとん折り)の3種は、それぞれ形は違っても、用紙のきっちり(2分の1=半分)で、等しい大きさ(面積)であることを、幼児に教えなさい。とありました。 おっ!私はフレーベルより一つ多くの(2分の1形)を見付けた!
 そして、今にして思えばそれは私の最初の “おりがみ数理パズル” となりました。

■おりがみパズル第1号
「正方形のおりがみをきっちり折って、用紙の“2分の1”の面積の(5角形)を作れ。」

 フレーベルという人は、 “3” という数がお好きのように思えます。勝手な想像ですが、敬虔なクリスチャンだったからでしょうか、もしかすると「父と子と聖霊、との唯一神の三つの位格(ペルソナ)」に従ったのでしょうか。幼稚園教材の「積み木」も、「3体→球、円柱、立方体」と規定しています。だからおりがみ半分形も3つにしたのか知らん?私はここに欠けている “母” を加えての4です?
 話が外れてしまいました。パズルの話に戻り、前掲の(2分の1の“5角形”)という問題は、パズルの要点である(心理の盲点)を突いたもので、…(5角形)という言葉を聞いた人の脳裏には(正5角形)が思い浮かんでいると思うからです。
 つまり解答は、野球の(ホームベース)のような5角形です。…と言えばもうお判りになりますね。
 ところで先年、このパズル第1号の(最新バージョン)を見付けました。第1号の(2分の1の5角形)を正確に折るには、(4回の折り)が必要でした。が、最新バージョンでは、―

■「(1折り半)で用紙の2分の1の面積の5角形を作れ。」

  ここで“半”とは、印を付けるという意味とします。そしてこれも心理の盲点を突いております。判りますか?



おりがみは、パズルの王様

 おりがみの中にはパズル的要素がいっぱい在ります。と言うより「おりがみってパズルの王様だと言える!」…今の私はそんなふうに考えています。

 ちょっと皆さんも考えてみてください。「2本の足と、大きく広げた羽。そして尾羽もしっかりと持つ(鳥の姿)を、1枚の紙から折り出すには?」こんな思いを持ったら、…それに答えようと思ったら、…それって正にパズルでしょう!

 さて私がおりがみに熱中し始めた頃は、こんなパズル的な面にひかれ、なんとかその答えを得たいと思ったわけです。そしてそんな思いを抱いた発端は、そんなパズルにびっくりするような解答を示してくれた二人の先輩の存在を知ったことに因ります。吉澤章氏と内山興正(こうしょう)師でした。そしてこのお二人の大先輩が、パズルを解く鍵の一つとして教示されたのが(基礎折りー吉澤氏)≒(基本形ー内山師)でした。また吉澤氏には(複合)とか(正方形以外の用紙形)という処方も、ちらっとではありますが示しておられました。

 一方、初級用として(切り込み)という手法も、お二人揃って示しておられましたが、私にはお二人共なぜか(消極的)な気配のあるように感じられました。
 さてこのお二人の大先輩を知った少し後、年齢的にはお二人より先輩の本多功氏の著書に図書館で出会い、(切り込み)と(複合)という技法を積極的に採用されることで、楽々とパズルに解答を与えておられるのを知りました。

 しかしやがて、おりがみが海外の人々の興味を喚起し、アメリカにイギリスにと愛好者のサークルが結成されるようになりますと、…内山興正師が具体的な表現で説かれた「不切正方形1枚折り」が、最上の理想として掲げられ、それ以外の解答はランクを下げられたようです。そして今もこの理想論は一部で堅固に信奉されています。(パズルならランクの高低が有って当然。でもパズル以外ではどうか?)

 ところでこの後、私は千野利雄氏、伊東万耀氏のお二人の真の芸術家の先生と巡り会え、その実践作例の、えも言われぬ(造形美)に感激させられました。お二人共、パズル的な理想論などには拘らず、(複合)も自由に採用されておられましたし、千野先生は(切る、やぶる)などの手法にも積極的でした!

そしてそこから私はパズルへの興味を離れて、おりがみならではの(象徴的な造形)を考えるようになって行くのですが、…今はパズルの話に戻ります。…おりがみに熱中して、12,3年経った頃でした。それまでとはまったく異なるパズルの存在に思い至るのでした。

非対称の「シオマネキ」のくふうは、パズルそのもの

2017/04/02

二つのお話

二つのファンタジー

 数年前から「昔、始まりの物語」という大長編ファンタジーを書いています。どんな結末を迎えるかといった、大まかな構成プランは頭の中に在りますが、…百人以上のキャラクターが登場する筈ですから、彼ら、彼女らがどんな行動を取るかの予測が出来ず、…まあいつ完成するのかは、今の時点では私自身判りません。

 ともかく次々と湧き出る妄想に身を任せて書き続けているわけですが、言葉を変えて言えば “見果てぬ夢” として永く楽しみたいとの思いもあるのですね。
 おとぎ話やファンタジーの夢を見ることは青年期からのもので、これまで1,2具体的に書いたことがありました。そしてそれにもっと熱中したかったのですが、おりがみ図書出版の依頼が次々と来て、…でも今にして、冒頭の “ごあいさつ” で申しましたような世の中の変化が起きたことで、今その夢に熱中出来る状況になったわけです。

 しかし、時間的なゆとりが生まれると逆に、登場キャラクターたちの行動力は鈍るようで、筆は滞りがちですが、…まあこんなふうに夢を言いふらすことで、気持ちにプレッシャーを与えたいとの思いが、どうやら心の内にあるのでしょうね。

 さて今言いました大長編のずっと前に「かばのポポタン」という短編のファンタジーを書きました。当時お世話になっていた、敬愛する編集長のお一人に見ていただき、ほめていただけたことで大いに自信も湧きました。が、この原稿がどこかに雲隠れして、10年探し続けていますが、未だ見付かりません。山のように積み重なった雑物の中に紛れ込んでいる筈で、いつかは出てくるでしょうが、このさい記憶を辿りながら、リライトを試みてみました。

 ともあれ、この2編のプロフィールをご紹介してみます。興味を持ってくれたらうれしいことです。



長編ファンタジー「昔、始まりの物語」



 今から、たかだか千六、七百年前のことなのに、ヒミコという女王(日の巫女)はどこに居たのか? 専門学者でも諸説に分かれ未だ定かではない?…なんて聞けば不思議感は深まり、ロマンを覚えるのですね。(私のファンタジーには、二人のヒミコが登場する予定!?)

 元より門外漢の身には、考証など出来よう筈もなく、ただただ空想と妄想の翼をはばたかせるだけですが、そもそもこの女王の名が歴史に現れた資料が、中国魏(ぎ)の国志の中の(倭人伝)とて、…たくさんの(ヤマタイ国)探索の説が発表されていて、それらを読んだ中で、繰り返し(魏志倭人伝)の5文字を目にして来ました。

 さてそこでこの(倭)は、わが国名であったと思うのですが、それがいつしか(ヤシマ)(ヤマタイ)(ヤマイチ)(ヤマト)(アキツシマ)(シキシマ)(ニッポン)、…などと変えられてきたことも、思えば不思議な話です。(ワ)って良い名と思っています。でもこの名を付けたのは、倭、それとも魏? ワは「和」とも「輪」とも成れます。

 また(ニッポン)なのか(ニホン)なのか、はたまた(ジパング)(ジャパン)とは、…マルコ・ポーロはこの呼び名を、どこから持って来たのか???(ワがヤマトに変えられたのは、天武天皇のときで、ヤーウマト=“神の民”の意とのアラム語から来ているとの加治将一氏の説に驚嘆させられた。(「失われたミカドの秘紋―祥伝社文庫」より。)

 一方中国の歴史で最もわくわくさせられるのが(三国志)。魏、呉、蜀の3つの国の手に汗握る興亡。その覇者となった(魏)の文字の不思議さ! 分解して(委ねる鬼)とは? これに対して(倭)は(人に委ねる)?
 はて? だれが何を委ねたというのだろう?…かくのごとく妄想は広がって止まらない。

…とまあ、こんな妄想から始まって(鬼)や(人)や、それに(精霊)なども絡むストーリイを思い付いたというわけなのです。

(ちょっと講釈を。三国志を三国史と記すと、朝鮮の新羅、高句麗、百済の三国の興亡を指すようです。…実はこの数年、テレビで放映してくれる韓国の歴史ドラマに大いに興味をひかれて、たくさん見てきて少々詳しくなった???のですよ。)

 話は変わります。昨今「縄文(ジョウモン)時代」の人々の暮らしの姿が次々と詳らかにされてきて、これまで教わってきた原始的で厳しい姿は一変され、きわめて豊かで平和に満ちたものであった実態が判ってきたようですね。
 こんな事実は海外の歴史学者をも驚かせ『1万年以上の永きにわたり、平和を保ってきた人々の存在は、世界の人類史に類を見ない!』と言わしめた。

 ビバ!ジョーモン時代! 平和で、豊かな食生活を楽しみ、自然をしっかりと守る美しい協同体! そんな楽園を舞台背景にしたファンタジーを!…これも動機。

 さて話はまたころっと変わり(世界3大ファンタジー)として掲げられるのは、「指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)」、「ナルニア国物語」、「ゲド戦記」だと聞きました。
 でも今では空前のヒットとなった「ハリー・ポッター」を加えなければならないでしょうから、(4大ファンタジー)でしょうか。

 さてさてこれらのファンタジーすべてに描かれているのが(悪との対決)です。ではこの(悪)とは何でしょう? 征服欲、支配欲、独占欲、…そんなおぞましい欲に突き動かされる魔物のような存在。それは人間の凄まじい性(さが)のひとつか? そしてこんな欲は、今はなお一層ぶ厚く世界を覆っていますよね。そしてその後から発明された(金・かね)という恐ろしいもの。そしてそれをだれよりも多く獲得したいとの狂おしいまでの欲望。これ程悪を生むものは他にないようだ。

 そんな悪の欲望とはまったく無縁な者だ、なんてことを言う自信はまったくありませんが、…私には悪とは繋がらないだろう?=別種の欲があります。それは知りたい欲です。

 狩猟、漁労、採集、そして果樹栽培で、豊かに平和に1万年も暮らして来られたのに、何で支配欲のような悪が発生したのだろう?…そんなことを知りたい欲。

 そんな妄想が、「昔、始まりの物語」を思い立ったもうひとつの動機です。4部か5部くらいの構成にしたいと、漠然と考えていますが、今はまだ第1部のみしか仕上がっていません。でも、とびとびにエピソードは結構書いていますから、完結は出来るでしょう。かくてこれから何年も楽しむつもりです。以上がまったくの妄想に終わってしまわない証拠として、その(出だしの一部)をご披露します。

ページ右上ebooks欄「昔、始まりの物語」より、PDFでご覧いただくことができます。



短編ファンタジー「かばのポポタン」

 河馬(かば)という生物は、あのゴッツイ体型の印象から、がさつで粗暴などうぶつのように思われていますよね。でもそれって本当のことなんだろうか? そんな疑問を抱いたことが動機で書いたファンタジーです。

 最近得た知識では、あの素晴らしい生物(イルカ)の、その親類にあたるのが、なんとあの “かば” だとか!

 良い作品だとの自負はあるのですが、…なにしろ今は行方不明とて、…リライトしてみたものでご紹介してみます。「昔、始まりの物語」のように大上段にかまえたものではなく、少々マンガチックなものですよ。

 あっそれから、これだけはしっかりと言っておきたいことですが、「ハリー・ポッター」が世に出るはるか前に書いたこの私のファンタジーには、恰幅のいい動物園の園長さんが出てきますが、その人の名は “デプリー・ポッター” さんです。

ページ右上ebooks欄「かばのポポタン」よりPDFでご覧いただくことができます。

*前後編二回に分けて掲載いたします。

2017/04/01

生きものの姿あれこれ

おりがみ・オン・ステージ

 たとえば「くじら」「白くま」「あざらし」…などに、気に入った作品が出来たとします。それらを単品で飾って眺めるのも楽しいでしょう。でもここでアイデアをひっぱり出し「氷山」「氷原」「冷たい海」のような舞台をくふうし、そこにかれらを飾るなら、…「北極」という大きなテーマの表現が可能になります。

 そして「北極」が表現出来たのなら、次に「南極」は?…それには「ぺんぎん」と「冷たい海と氷原」のステージをくふうして飾りましょう。
 なお、この見出しの言葉を書名にしての1書、既に脱稿しておりますが、言うまでもなく未刊。

北極海




エジプトの猫

“エジプトの猫” とは変なタイトルのようですが、結構端正な造形に、“隈取り” したような目を描き入れたら、思わずこんなタイトルを思い付いた次第。
 パピルスを生み出したエジプトには、いつもレスペクトの思いを抱いています。加えて人類の偉大な文明の発祥の地でもありますね。おりがみで、クレオパトラの像が出来たらこりゃもう “おりがみ卒業!” でしょうね。

エジプトの猫

オアシスのスケッチ

スフィンクスとピラミッド


高原・雪山


 無作為に、そして適当に定めた “目安” で、きっちりと折ったら、それを広げて “半開状態” にします。無作為に折ったものなのに、そこに様々なイメージが引き出されます。こんな安直な造形法を思い付き「半開折り(Half-opened crease*)による“イメージ・ゲーム”」と名付けて、以前熱中したことがありました。(*カナダ在住の青柳俊明さんが英語訳してくれた。)
 最近そのイメージの幅を広げて、 “高原” とか “雪山” などをイメージし、そこに「走る馬」を。また “半開折り” での「雷鳥」を飾ってみたりしました。



冬の雷鳥

コラボレーションの楽しさ

 “おりがみ・オン・ステージ” の項でも言いましたように、作品単品で飾るより、なにかしら “背景” や “舞台” となるような造形を考え、2者で協同表現させてみるのは倍増効果を生み、楽しいことです。






食材も、また楽しいくふう

まつたけ エリンギ しいたけ しめじ マッシュルーム えのきだけ


見立て変え

 イメージが定着出来た造形を、裏から見たり、ひっくり返して眺めてみるとき、そこに最初のイメージとまったく異なる “見立て” が出来ることが、しばしば起こります。初め「箱」だったものが「ベンチ」に見えた!

取っ手付きの箱が‥

恋人たちのベンチへとイメージチェンジ


 あるいはまた、伝承の名作「虚無僧」の “笠” の部分だけの(反転色変え)を考えていた中で、ひょっこりイメージが変化して出来た「庵主(あんじゅ)さん」。

「こむそう」が「庵主さん」に変身

図形の美

 私のライフワークとしてのテーマ「キューブの探求」は、探求している最中にその図形のあまりにも豊かな柔軟性に驚かされることしばしばです。
 例えばハワイに伝承されているそうな「ココヤシの葉から作る(ころころボール。佐藤邦昭著 作ろう草玩具 築地書館 2004年刊より)」や、沖縄に伝承されている「アダンの葉から作る(星っころ)」(下の写真)など、一見キューブと無関係と見えるも、どちらも明らかにキューブに繋がっています。
 ともあれキューブの探求は、すればするほど興味が深まるものなんです。下にいろいろと写真紹介したようなものも、いずれもキューブから出発しての成果で、まあ私の独断かも知れませんが、「キューブこそ図形の王様」と呼べると思っています。

アダンの星と、ころころボール

24枚組みの「籠編みキューブ」

あやめキューブと葉

フレーベルの「美麗式」から生まれる「華麗なくす玉キューブ」

キューブ半切で生まれる正6角形は「蜂の巣」に。

沈みゆくキューブ

あじさいキューブ

キューブから球へ


パンダルマ?とキューブパンダ

 幾何図形のユニットや、花のくふうには、あまり論理的な思考をしない方がいいように思えます。すなわち(ずぼらなくふう法)の(イメージ・ゲーム)のようなくふう法こそ成果に繋がるようです。…まあ私の場合ですが。これがその一例。
 そうなんです。ただ無作為に折っていたら出て来た造形に、パンダの顔がイメージ出来たので、それに(体も付けよう!)との結果です。イージーなくふうでしょう!