アンデルセンの名作にこんな題名の物語がありましたね。
実ははるか昔の出来事ですが、大好きだった切り絵絵本作家の、東君平(ひがし くんぺい)さんが急逝されてしまうという、ショッキングな出来事がありました。
そんな東さんに、3部作構想の絵本プランがあり、その2作は実現されたものの、最後の1作が、絵コンテだけが残されていたそうで、…その前2作を実現させた福音館書店の編集部は、東さんのいとこで、よく知られた写真家の山口進さんといろいろと相談された結果、その第3作の実現に、他の切り絵作家さんに頼むより『おりがみでやったらどうだろう?』とのことになり、山口さんからの提案で、私のところへ話がまいりました。
さてその初めての依頼の内容ですが、『折り方図の無い、完成形の造形だけでやってほしいのですが?』というものでした。
おりがみって、(復元を楽しむ遊び)です。それが、折り方図の無い本とは!? で、一旦はお断りしました。 しかし、お断りしての帰り道、いろいろと考えて、「あの東君平さんと関われる上に、おりがみ造形が一つの勝負の好機なんだぞ!」と、そんな声が頭の中に聞こえて来ました。 で、家に帰ってすぐに電話をして「やっぱりこの仕事、やらしてください!」と言ったのでした。
折り図の無いおりがみの本! そのときあのアンデルセンの「絵のない絵本」の言葉が頭に思い浮かびました。
そして実現された「海のおまつり 東君平・山口進さく、笠原邦彦おりがみ 福音館書店 年少版こどものとも 150号 1989年刊」が出来たのです!
自分で言ってはなんですが、これは実にいい本です! 君平絵本の上位に入れてもよいものだと公言したいほど自慢しています!
後日譚ですが、孫の一人が、図書館で『これを借りて行くと言った本が、なんと!この(海のおまつり)だったのです!』 もちろんおじいさんが関係していることなど、まったく知らないで!
海の生き物のあれこれが登場しますが、主役は(たこ) でした。その主役はなんなく折れましたが、ちょっと思案に 時間が掛かったのが、(さざえ)でした。基本的に、東さん の絵コンテに従うわけですから、平面造形でなくてはならな いのです。でもそれはうまいこと出来ました。「ああ、オレ って、けっこうやるじゃん!」と自画自賛したものでした! |
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