2023/01/18

「カンガルー」

(半開折り)で満足を得る?

「カンガルー」は、これまで何通りものスタイルでくふうして来ました。が、九州の同志、堤政継(Mr.Tsutsumi Masatugu)さんが送ってくださった マーガレット・キャンベル(Margaret W Campbell)さんという方の書かれた「紙おもちゃ作り(Paper Toy Making)」という本の中には実にユーモラスなおりがみ造形があった。

 このキャンベルさんという方は、伝承の作品を集めて紹介されたので、我々が知っているものがほとんどです。なお堤さんがお調べになって教えて下さったところでは、キャンベルさんは南アフリカの方で、昭和10年代、日本に来られたことがあるとのこと。

 さてここでの「カンガルー」ですが、それはディフォルメし過ぎと、私の目には映った。そこで私なりに改作してみたものを、伝承のものとして2006年に日貿出版から出版していただいた「おりがみ新発見3 古典から最新作まで300年の絵巻」の中で紹介した。それらを下の写真で見ていただきましょう。

 なおこんな作品にユーモアを感じて好きになったところで、これを(半開折り)にて、もう少しリアリティーさを加えてみようと考えてみたのが、その次の写真です。






2023/01/14

半開折り

木下一郎(Mr.Kinoshita Ichirou)さんの思い出から

 日本折紙協会の常任理事であられた木下さんが、2021年5月に98歳で亡くなられた。 立派な人生だったと思います。私は木下さんにはお酒で随分とご厚意に与った。

 さてかつて私は(半開折り)と名付けた、くふうの新手法のことを思い付き、所々で、そしてまたこのブログでも宣伝したが、あまり反応を得られなかった。そのことには何の残念さもなく私自身が大いに楽しんだ思い出ばかりだが、NOAの木下氏の訃報記事の中で、木下氏はこの技法を評価してくださっておられたらしきことを知り、嬉しかった。

 おっと、嬉しい評価をくださった数少ないお一人に、デンマークのトキ・エン(Mr.Thoki  Yenn)氏が居られたことは前に記した。

 そんなわけで、かつてこの(半開折り=Harf-opened Crease)だけで、こども向け小冊子に纏めてみた原稿が出て来たので、そこから1、2を紹介してみたいと思います。






2023/01/10

パズル懇話会の思い出

新手の「おりがみパズル」の話

 これは既に記したことですが、昔、数年の間「パズル懇話会」という高級なサークルの仲間にしていただいていたことがありました。

 そこに私と同じ頃入会されたと後で知った、北沢忠雄(Mr.Kitazawa Tadao)さんとおっしゃる方が、今まで見たこともない(おりがみパズル)という、とても楽しいものを紹介されていて、夢中にさせられました。それは大体次のようなスタイルでの問題でした。

◉『図をコピーし、正方形を切り取ったら、3回折ってアルファベットの(H)にせよ。』←そこには中心部に、とても(H)とは繋がらない黒い塗りつぶされた図があるのです。

◉『あちこちと、違う方向を向いている(ぶたちゃん)を、3回折ってぜんぶ同じ方向を向かせなさい。』

 いやーっなんと言う斬新な視点でしょう! そしてこの新手のパズル、その頃おりがみプロを自任する私の心を鷲掴みにしてくれたのです。

 そこで私も北沢さんの視点から問題を考えてみました。それが次のようなもので、会誌に発表してもらいました。 なおこの問題、私は(5回の折り)としての回答を考えていたのですが、すごい方々揃いの会とて、すぐに(4回折り)の回答が送られてきました。どうぞ、解答を捜してみてください。この際折り回数は4でも5でもかまいません。




2023/01/03

とんだ錯覚

ありがたい読者からのご指摘

 ユニットの魅力の虜になったらしき、さいとう かつみ(Mr.Saitou Katsumi)さんという方の作品集が日貿出版から出版されることになったとき、 『ユニット熱中の元になった作品として、笠原さんの作品を一つ紹介させてほしい。』との依頼があった。

 さてここで選ばれた一つが「りゅうご模様のユニット」?…と、ずっと思って来ました。が、親切な読者の方から『これは(りゅうご)ではなく、(リボン)模様のユニットですよ。』とのご指摘を頂いたのでした。

 あっ、正にそうでした! 恥ずかしい凡ミス! なお(りゅうご)とは輪子(輪鼓)と書く中国由来のコマのことで、英語だと(Diabolo)のことです。

 ところでユニットがお好きな方ならよくご存知の通り、ほんの(1折りの違い)が、組み上がった表情に大きな相違を生み、それ故にユニットおりがみは楽しいわけですね。だからと言ってミスの言い訳ではありますが、ともかく下に「同じ折り線展開なのに、組んだ結果はかなり相違する表情」を並べてみました。こんなところに「ユニットおりがみの楽しさ」を見て知ってくださったら嬉しい。






 

2022/12/30

ダイオングの決心

(鬼族)からの旅立ち !

 オーギの悲劇から半年が過ぎた。その半年は鬼族にとってはニンゲンの1年半くらいに相当する期間なのだ。そんな長い時間を一人でひっそりと暮らしていたヒメルの住まいのドアが、静かにノックされた。

「…どなた?」

「おお、ダイオングじゃ。そなたにちと頼みがあって来た。」こんな予想外の出来事にヒメルの顔が一瞬輝いたように見えた。そしてドアは静かに開いた。

「おお、ヒメル、わしのところへ遊びに来いと言ったのに来んかったな。おお、元気そうじゃな、嬉しいぞ。それになにやら臈たけて美しゅうなったと見えるぞ!」「さて今日はそなたに相談したきことあって、…ほれっ、オサノオウヒコどののところから戴いた(ショウチュウ)をもらって来たので、こいつを楽しみながら相談を聞いてもらいたいという思いだが、そうはいくまいかの?」

「何やら少々怖い気もしますが、何でも伺います。どうぞお入りくださいませ。」

「怖いと思われてなんだが、率直に言おう。わしゃそなたに無性に会いたくなっての。そうしたらオグルにも会いたくなったんじゃ。それでじゃ、二人でオグルを探す旅に出ないかとの相談が一つ。そしてもう一つ、ちとケッタイな相談じゃが、それを話す前にこいつで乾杯しようぞ。そしたらいくらか話がし易くなろうと思ってな。」

 あのときとは別人のような微笑みを浮かべたヒメルは、頷くと奥に入り、手に二つのグラスとチーズを持って出て来ました。

「ダイオングさまの口からオグルの名を聞き、半年ぶりに私の胸に赤い火が灯りました。そして、これはオグルのカクレ里からのおみやげです。オーギと三人で食べた残りですが、私一人では食べる気が起こりませんでしたが、今はダイオングさまと食べたくなりました。」

「おおそりゃいい! ところでさ、そなたヒノミという娘知っとるか? そのヒノミがさ、このチーズやショウチュウの造り方を学ばせてほしいとて、オサノオオヒコどのにはっきりと申し出たのよ。するとそれに呼応するようにホングの奴がな、自分は剣の修行にやはりカクレ里に行きたいと言い出してな、みんな大喝采になったのよ。」

「茶色い髪で背が高く、瞳が素敵なヒノミ、よく知っています。ああ、そうなんですか、それはとても嬉しい話ですね。さあ、ダイオングさま、嬉しい話に乾杯しましょ。」

「おお乾杯じゃ、そして懐かしいチーズもいただこう。さてと、最初の相談のオグルに会いたいことじゃが、彼はカクレ里に居るかどうかは分からんが、ひとまずそこを訪問してみたいと思っておる。でそれに一緒してほしいということじゃ。どうだろう?」

「大長(おおおさ)さまとしてのお仕事は、大丈夫なんですか?」

「ああ、なんの問題もない。そもそもお飾りの名のもの。でもまあ、4人の長(おさ)たちには断りを入れてある。なあ、ヒメルうんと言ってくれんか?」

「わかりました。どうぞお連れください。オグルにほんとうに会いたい!」

「おお!嬉しいぞ。…では次の相談じゃが、…ショウチュウを注いでくれんか。」

「あのな、実はわしは(角)を捨ててオグルと同じになりたいのよ。」

「まさか!本心ですの。でもそれで私に相談とは?」

「つまりじゃ、そなたの手でこの2本の角切り取ってほしいのだ。実は4人の長やボウグに頼んだが、皆首を縦に振らん。…しかたがない、自分でやるか、そうも思った。だがそのときそなたの顔が思い浮かんだのよ。」ここまで言うとグラスをぐっと傾ける。と驚いたことにヒメルは顔色も変えずダイオングにならってグラスを干しました。

「いいですよ。そもそも夫オーギの悲劇を引き起こしたのは、私の(角切り)が原因、でも今回は頼まれてのこと。罪の意識もありませんし。でもダイオングさま、あなたの心にオグルの父になりたいの思いが有りはしませんか?」

「ああヒノミよ。わしの心はすっかり見透かされているようじゃな。その通り、わしゃそなたに夢中なのさ。」


まあここはこのへんで。