2017/04/04

究極的難解パズル!

超難解パズル発見!

 阿部恒氏、いやもう阿部さんと呼ばせてもらいましょう。その阿部さんに4種の2分の1形発見の話をし、「これがもっと拡張でも出来たら面白いパズルになるでしょうが、これ以上は在りませんよね。」と言いましたら、阿部さんは即座に、…『1本の“切込み”を許せば、形の種類はぐんと広がると思うよ。』とおっしゃいました。

 なんと嬉しいご教示だったでしょう! このご教示から“究極”と言ってはばからない超難解なパズルの発案に至ったのです。それを名付けて「21・スクエア・パズル」。1982年のことです。
(不切)なんていうことを信奉していたら、道を外れてのこのような(セレンディピティ=幸運の発見)は得られなかったでしょうね。

『1本の切り込みを許せば、』との阿部さんのアドバイスから、(不切の4形)からその種類を5倍に拡張した(20種)のすっきりとした(2分の1形ピース)が見付かりました。


この全20種の中には、(ざぶとん折りでの“正方形”)が当然入っていますが、20種のいずれかを複数合わせての(正方形並べ)を考えてみたとき、2ピースと8ピースでの正方形はすぐに見付かりましたものの、…これを最大数(18ピース)での正方形並べは可能だろうか? その思いが超難解パズルの発案でした。

 この発案は、おりがみ教室や講演の機会が得られる毎に、多くの人々に提示しましたが、大半の方々からの返答は『無理でしょう。』というものでした。
 そんな反応が逆に追求の意欲に繋がったようです。
しかし、その後何年も、ときどき思い出しては試みてみましたものの、…やはり、まったく解答は得られませんでした。

 やっぱり大方の予想通り不可能問題だったのか。そんなあきらめの思いが起きかかりました。…が、その前に、今考えている正方形の辺の長さを(有理数)のものと考えるならば、(無理数)となる正方形が考えられ、それは(4ピース)と(9ピース)の2種が在る筈と気付き、4ピースの正方形はすぐに見付かるも、9ピースは無理であることが確認出来ました。…そう判ると、(9)の倍数の(18)は、それが(有理数の辺)とはいえ、やっぱり無理かなあ、の思いが強まりました。

 と、発案から16年後の1998年の正月のこと、朝日新聞に次のような記事が出ました。
『異なる大きさの長方形のチップを、最小面積に並べるという問題を考える。このとき部品数が8個より小さければ、最小面積となる配置を数時間で割り出せるが、部品数をそれより多くすると計算量は爆発的に増える。たとえば20個ほどを計算するのに、150億年以上の時間が掛かる。ということが判った。』

 これは東京工業大学の先生方のグループが、大規模集積回路の設計のために考えたことで、結局(最小)ではなく(できるだけ小さな面積)と近似計算とすることで、…500個でも6時間くらいで解答の得られるプログラムが出来た。とそんなニュースでした。

 元より問題が違うので比べることは出来ませんが、たとえば「タングラム(後で解説します。)」でのピース数(7ピース)が、「21・スクエア・パズル」では(20のピース)と、…なんだか東京工業大学の先生方の話と似て聞え、…『150億年』もの難しさの言葉にかえって蛮勇が引き出されたのでしょうか、(18ピースでの正方形並べ)に解答を得たのです! 実に解決までに16年!…この日の酒のうまかったこと!

 なお、18ピースでは(長方形)に並べられることも判り、これには(2例)の解答を得ました。
 とまあ解答が在ることが判れば、パズルは成立しますから、…その後内外の友人や知人に「共同で商品化して、ルービックさんのように金持ちにならないか?」と呼びかけてみましたが、金銭欲の少ない善人ばかりの友人のためか、…今なお私一人の楽しみになっています。(この“私一人の楽しみ”とは、まだ“未解決”の問題がいっぱい在ることを見付けているから。)


“21” の意味

 ところで「21・スクエア・パズル」のネーミングの “21”の意味は? 実はこの(18ピースでの正方形並べ)を考えている途中、使っているピースと同じ形の(穴)の空いた、17ピースでの正方形が、ひょこっと出来たのです。つまりこれは、1つのピースを2個使えれば正方形に並べられる、ということです。すると、20種のピースそれぞれについて(17ピースでの“穴空き”正方形並べ)という、20の問題が新たに考えられるかも知れない?…そんな思いになりました。するとこれに最終問題の(18ピースでの正方形並べ)とで、(計21の難問)。

 またこんなことを考えていた頃は、21世紀が目前の時でもありましたので。それにも懸けての(21)ということです。なお、(17ピースでの “穴空き” 正方形並べ)20問は、18ピースでの正方形並べより数が20倍ですから、その全問解答には最終問題解答よりさらに半年の時間が掛かりましたものの、無事全20問に答えを見付けました。

 なおこのパズル、上掲の諸問題以外に、山ほど難問が考えられて、正に(究極の超難解パズル)と宣伝してはばからない。ところで、「ルービック・キューブ」は実に優れた機能性とファッション性があるのに対し、わが「21・スクエア・パズル」には、そのどちらも無く地味ですね。…ヒット商品の夢はやはり無理のようですかね?…おやまあ。

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