2019/11/17

「昔、始まりの物語」のこと

その後?

 4部か5部か、ともかく大長編を書きたい!とて始めた「昔、始まりの物語」ですが、その(第2部)に、なんとか決着のイメージが得られるところに至りました。が、ここで、それを書いている古いパソコンがダメになりそうです!
 だから今、騙し騙し打ち込んでいます。 第1部より奇想天外さを増したもののように思っていますが、このパソコンではもうだめかも知れない!? どうしたらいい!?

 ところで中学生の頃、兄貴が持っていた「中里介山作 大菩薩峠」。それは(9ポの活字で3段組みB5判だったか?)で、確か1巻が4,500ページで全8巻!…当時世界最長と言われたその小説に夢中に成り、高校受験のときなのに止められず、でもまあなんとか(第二希望)に受かったものの、冷や汗ものだった思い出から、なんとも愚かにも、この“世界最長”の語に魅了されて、ともかく大長編を念願しました。(これは最長にして未完!! 確か今ではもっと長い小説があるようですが、)まあまあ、なにしろ愚かな考えです。
 で思いを入れ替えて、長さなどに関わらないで、ただ、だれも書かないファンタジーに思いを寄せたわけです。とにもかくにも、まったく個人の酔狂な妄想から始まった話!

 でも思い出すなあ、大菩薩峠の名場面と名セリフ、ニヒルな主人公机竜之介が、ふらふらと加わってしまった新徴組で、『ボスの清川八郎を斬ろう!』とて15、6人の連中による暗殺部隊。それはかの土方歳三(ひじかた さいぞう)の指揮の元にて決行される。なんと、竜之介はこれにもまたふらふらと加わっています。
 ところが、清川が乗っていると思った駕籠から降りて来たのは、剣豪島田虎之助。間違いに気付くも、今さら止められないとて斬り掛かるが、あっという間に三人、五人、と、一刀のもとに切り倒される。

 塀を背にして青眼に構える島田に、さらに残る刺客が襲い掛かります。なにしろ強者揃いの新徴組とて、怖気付くような者は一人もいない。しかしまるで腕が違う。ほとんど一太刀で倒されて行く!
 竜之介は何故か影に隠れて見ていて、その腕前に畏敬の念を抱く。

 そして最後に土方歳三が、島田にこの襲撃団の首謀者と見抜かれ、赤子のごとく扱われて、取り押さえられる。しかし命は取らず突き放したときに言葉を発する。名セリフ。
『剣は心なり。心正しからずば、剣また正しからず。剣を学ばんとする者、まず心を学べ。』これは歳三にではなく、竜之介に言ったのかも知れません。

 なおこの島田虎之助は、実在の人物だそうです。剣は「直心影流(じきしんかげりゅう)」で、勝海舟(かつ かいしゅう)の剣の師でもあったそうだ。

 なお「大菩薩峠」は何度も映画化されていて、調べたら、最初が1957年、内田吐夢監督、片岡千恵蔵の竜之介と、大河内傳次郎の虎之助で、私はこの虎之助が一番好きだ。
 次が1960年、三隅研次監督で、市川雷蔵の竜之介。私は雷蔵こそ適役と思った。そして島田虎之助は新国劇の島田正吾が演じた。島田正吾の重厚な発声もよかった。
 そして3度目は森一生監督が、三隅と同じ配役で続編を作った。 そして4度目が岡本喜八監督、仲代達矢の竜之介、虎之助は三船敏郎が演じた。これは見ていない?

 さて、中里介山によって生み出された机竜之介は、「甲源一刀流(こうげんいっとうりゅう)」の達人で(音無しの構え)を極めた男。ただ剣のことしか頭に無いニヒルな性格で、人の命も人の幸せも彼の心に斟酌はまったく無い。こんな人間を主人公にしたところが、中里介山のユニークさだと思う。

 それにしても、現代、時代劇はともかく、チャンバラ映画というのは、ああ!もう死語に近いようで、寂しい!

剣道

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